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三題噺もどき5

五限目

作者: 狐彪

三題噺もどき―はっぴゃくろく。

 




 外を眺めると、鳥が一羽で飛んでいた。

 この時期に飛んでいるのは、果たして何の鳥なのだろう。

 昔、知り合いに鳥が好きな子がいたけれど、その人が見ればわかるのだろうか。

「……」

 風がかなり強いのか、上下に揺れているように見える。

 その状態で前に進めるのだろうかと、疑問を覚えてしまう。

 渡り鳥のように、群れで居ればまだしも。

「……」

 道路を挟んだ向かいにある、小さな公園では、子供が1人はしゃいでいる。

 親はどこにと思ったが、どうやらその小さな駆け足に追いつけずに、追いかけずに、ゆっくりと、しかし目は離さずに後ろを歩いていた。

「……」

 子供用に、低めに設定されたブランコに乗り、小さな足で必死に漕ぐ。

 見かねた親が、背中を押し、小さく揺らす。声こそ聞こえないが、楽しそうだ。

 押している親は、風のせいもあって、かなり寒そうだが……子供は風の子なのだろう。

「……」

 外では、あんなに温かな風景が繰り広げられているのに。

 まぁ、寒さがないだけありがたいのだけど。私は暑さより寒さの方が苦手だ。鼻が痛くなるしそのせいで涙が出てくる。

「……」

 生ぬるい空気に包まれた教室には、淡々とした教師の声が流れているだけ。

 時折、黒板をチョークが駆ける音が聞こえる。

 小さくシャーペンが走る音が聞こえたり、紙をめくる音が聞こえたり。

「……」

 真面目なものだなぁ……ひとつ残らず教師の言葉を聞き逃すまいとでもしているのだろうか。無理があるだろう。それにこの教師は容赦なく黒板を消すし、あまりこちらに対しての問いかけというのをしない。まるで1人で授業しているみたいに。

「……」

 そういう授業スタイルなのだろうけど、まぁ、一年も受けていれば慣れてしまう。

 去年は担当が違ったので、初めはそれこそ戸惑ったが、見ていれば大抵教科書と資料集に書いている事ばかりだから、そこさえ見逃さなければ、テストはどうにかなる。

「……」

 そのおかげというか……淡々と話す声に、この生ぬるい空気に、昼休み後最初の授業と来た。

 まぁ、眠くなるのも当たり前だろう。

 隣なんて、先程から何度頭を落としかけているのか。そのうち机にぶつけそうな勢いだ。そこまでして耐えるのなら、いっそ諦めて寝てしまえばいいのに。

「……」

 私はまぁ、授業の内容自体はそれなりに興味のあるジャンルなので、起きてはいられる。

 聞いていられるかどうかは別として。

 時折、申し訳程度にノートにシャーペンを走らせてみるけれど、追い付かずにすぐ消されるから。教科書に線を引いたり、マークをしたり。

「……」

 飽きれば、外を眺めたり、ノートに落書きをしたり。

 意味もなくノートをさかのぼってみたり。

「……、」

 どこもそうなのかは分からないが、この学校はテスト期間になると、午前授業になる。

 基本的には下校だが、その放課後に学校に残って勉強をしていいことになっているのだ。

 自分の教室でやることが前提だが、まぁ、そんなことを守っている奴はあまりいない……というかまぁ、そもそも残っている人があまりいない。みんな帰って勉強しているらしい。知らないけれど。

「……、」

 その名残……というか。

 ノートの端の方に、見覚えのある落書きが残っていた。

「……」

 中学で知り合った頃から、絵を描くことが得意だった、あの子の。

 こういう小さな落書きを見るたび、やっぱり上手いなぁと思ってしまう。

 美術部にでも入ればいいのにと思うが、本人はそこまでじゃないらしい。趣味の範囲で自分なりに楽しく描きたいのだろう。

「……」

 2人で放課後に残って。

 静かな教室で、それぞれ集中しながら勉強して。

 時折、飽きて、こうして落書きをしたりされたり。

「……」

 ほんの少し前まで話していたのに、また話したくなってしまった。

 まぁ、今日はこれが終わればあと一限で終わるし、それもロングホームルームだから、たいしたことはしないだろう。

「……」

 今日は部活もないはずだし。

 帰りに、教室に行ってみよう。












 お題:渡り鳥・ブランコ・涙

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