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89話:東方を満喫しよう!

旅を楽しんでおります。

異世界生活百十六日目(続々)


カンナ船長の案内で港の市場を抜けて街はずれにやってきた。


「あそこがあたしのオススメの養鶏場さ!」


そういってカンナ船長が指さした先に、立派な養鶏場が見えた。看板には日の出養鶏場とある。


「えーっと、おじさんはどこかな、あ、いたいた」


「おお!カンナちゃんじゃないか、今日も卵を買いに来たのかい?」


「ヒノデのおじさん。もうちゃん付けって年じゃないよあたしは。今日はあたしじゃなくて遠くから来たお客さんを連れてきたんだ!」


「新しいお客さんかい?そりゃありがたいね」


わたしは今が自己紹介の時と思い口を開く。


「ワタシ メグミ! ニシ カラ キタ!」


「この通り、遠い異国からのお客さんで、言葉がうまく話せないんだ。こっちが言ってることはわかるみたいだから、きちんと商売になると思うよ」


「はあ、これはまた、珍しいお客さんだねえ。それで何が欲しいんだい?」


「タマゴ ウム ニワトリ ソダテタイ!」


「ほほお、つがいが欲しいんだね。相性があるから三組、六羽、銀貨3枚でどうだい?」


「ギンカ 3マイ カウ!タマゴ モ ホシイ!」


「卵は一個銅貨3枚だよいくつ欲しいんだい?」


「アー 20コ ホシイ!」


「じゃあ鶏と合わせて、銀貨3枚、銅貨60枚だね」


私は言われた通りの額を、竹籠からミコちゃんに出してもらおうとしたが、そういえば銀貨しか持ってなかった。


「ギンカ 4マイ デ ハラウ。オツリ イイ?」


「はいはい。お釣りは銅貨40枚ね。ありがとよ」


おじさんは奥から鶏が6羽入った籠と、卵の入ったパックを2つ取り出してカウンターに置いた。


この世界でも卵は10個1パック入りらしい。不思議だ。


わたしは支払いを終え、品物を受け取った。


「イイ カイモノ ダッタ!アリガトウ!」


「ふふ、またよろしくね」


おじさんは終始ニコニコしていた。


「買うもの、買ったわけだけど、メグミはもう帰るのかい?」


「ノリ ト ショウユ ガ アレバ カイタイ!」


「乾物と調味料だね。それなら街にいい店があるよ」


カンナ船長はこの街のことは何でも知っているようだ。なんていい人に会えたんだろうか。運がいい。


「メグミ。ずっと気になってるんだけど、竹籠からちょくちょく出てくるカニをしっかり見せてくれないかい?」


「コノコハ ミコチャン! アイサツシテ」


ミコちゃんはハサミを振って挨拶した。私には声が聞こえているが、船長たちには聞こえないので身振りだけで何とか気持ちが伝わるといいなぁ。


「はあ、改めて見るとでっかいねえ。」


「で、でかすぎる。尋常じゃない」


「ミコチャンハ カワイイ サイズ!」


「これで小さい方なのかい?もしかして化け蟹様クラスもいたりするのかい?あ、化け蟹様っていうのは西山港の守護神みたいな山のようにデカいカニのことなんだけど」


「マサルサン ヤマミタイ ニ デカイ!」


「せ、船長、まさか、化け蟹様本体と、この子知り合いだったりしませんよね?」


「流石に世界は広いから別のカニだと思うけどねえ、あたしは見てみたいけどね、そのマサルサン」


「ワタシ マサルサン ノッテキタ カエルトキ ショウカイスル!」


「おお、会えるのかい?そりゃうれしいねえ。あたしもご先祖様の伝説に並べるかもね!」


「俺は、丁重に辞退させていただきます!」


「何言ってんだよ!あたしいるとろに、あんたがいないんでどうするんだい!そのカニ恐怖症も本物の大物にあったら払拭できるかもよ?」


「た、確かに不確かなものに対する恐怖が無くなればカニも怖くなくなるかも……」


「カニ ハ トモダチ コワクナイ!」


勝さんはとても気のいい人だから、きっとヒュウガさんのカニ恐怖症も改善されると思う。


そんな話をしながらわたしたちは東方印の海苔と醤油を買った。


グ~。


わたしのおなかが鳴った、そういえばもう夕暮れ時である。すぐ買い物は終わると思っていたので、何も食べ物を持ってきていない。


「お腹が空いたのかい?じゃあ西山港名物、カニ……は食べれないから、肉うどんを食べていきな!」


「ウドン!」


まさか異世界でうどんが食べれるとは思っていなかった。


うどんと書かれた暖簾をくぐり、わたしたちは店に入った。


いい出汁の香りが漂っている。店内ではうどんを茹でている職人さんが見えるようになっていて、日本にいた時によく行った、うどんチェーンを思い出した。


「肉うどん3つね!」


席に座りながらカンナ船長が注文をしてくれた。


「あいよ!」


職人さんは元気のいい返事とともに、茹でたうどんを丼に盛りつけ、出汁を注ぎ、具の肉を乗っけた。


素晴らしい手際の良さで肉うどんを3つ完成させてわたしたちの前に置いた。


「はい!肉うどん3つお待ち!」


焼いた肉の香ばしいにおいと、出汁の香りが非常に食欲をそそる。


ズルズルッ!ズルッ!


「ウマイ!」


とてもおいしい!小麦を手に入れたら絶対に家でも作ろう。それにここの出汁はどうやら魚介出汁だけっぽいので、合わせ出汁にしたらもっとおいしくなる気がする!


「遠くから来たのに、迷うことなく箸でうどんをすすってる……西にもうどんはあるのかい?」


「マダナイ!ソノウチツクル!」


「似た料理でもあるのかねえ」


「船長も変な事気にしますね」


「中央から来たら大体箸の使い方で躓くからねえ」


「彼女が器用なだけなんじゃないですか」


「うーん。まあいいか。うどんを気に入ってくれてよかったよ」


「ニクウドン ウマイ!タスカル!」


「ああ、そうだ、もう日も暮れてきたし今日はうちの船に泊まっていきなよ、自慢の船だから紹介したいしね」


「フネ!トマル!」


この世界の船がどんなものか残骸でしか見たことないので、とても興味がそそられる。


勝さんにはミコちゃんに念話を飛ばしてもらって、お泊りするって伝えてもらおう。


「ハハハ!いい返事だね!じゃあ早速行こうか!」


カンナ船長はわたしの分のうどん代も払ってくれて、自慢の船へと案内を始めるのだった。



最後まで読んでくれて、本当にありがとうございます!

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