72話:カニ・ヤドカリ運動会2
丸太引きはカニ界の綱引きみたいなものです。
異世界生活六十九日目(続)
「カニ・ヤドカリ運動会第一種目は丸太引きです。代表チーム同士で丸太を引きあって、自分の陣地に入れた方が勝ちです。今回は3チームなので総当たり戦ですよ~」
「丸太は俺が運んできた、魔力を帯びた特別頑丈な奴だ。引き合って丸太が千切れるなんてことになったら興醒めだからな」
「そんな凄い木が生えてるところがあるんだね」
「大陸北の寒冷地産だ、メグミの常夏パーティだと辿り着けないだろうな」
「確かに寒いところだと、アッシーくんくらいしか行けなさそうだね」
「アッシーくん?」
ズモモ
「メグミ…出番か…」
「おい、なんでタカアシガニがいるんだ!?デカすぎだろ」
「え?出場するカニの大きさに制限とかないはずだし……」
「うーむ、まあいい、ズワイタウンの連中は鍛え方が違うからな。でかいだけのカニなんて目じゃないぜ」
「こっちだって、アッシーくん以外も粒ぞろいだから負けないよ!」
「初戦はメグミちゃんと徹くんか、じゃあ両チーム丸太を抱えて、よーい、スタート!」
徹くんのズワイガニチームがキワミくんが先頭になって一気に引っ張ろうとする。
ガギギギ。
しかし、アッシーくんが深く砂地に脚を突き立て簡単に引かせないようにする。
「よし、相手の出鼻をくじいた今が引き時じゃ!」
ガザ爺の号令でいっきに丸太を引いていく。
アッシーくんは脚をたたんでこちらの陣地に引っ張るのを邪魔しないようにする。
ズササササ。
「もうすぐ丸太がこっちの陣地に入るっすよー」
「油断するな!相手の力は緩んでない!」
「引っ張る…」
アッシーくんが一気に引き勝負を決定づけた!
「おお、メグミちゃんのチームの勝ちだな、アッシーくんの差が出たなあ」
「やったー!」
丸太引きチームのみんなと円陣を組んで喜びを分かち合う。
「じゃあ、次は勝さんのチームと徹くんのチームの番ですね。審判は私がやりますね」
「まあ、タカアシガニという規格外に負けたのはまあ許すとして、勝のチームに負けたら許さんぞキワミくん!」
「はあ、最終的に勝てばよいのですから、そこまで気を張らなくてもよいと思いますよ」
「キワミくん、俺たちに勝てるともう思ってるのは、油断のし過ぎだと思うぜ」
「タラちゃん、今回のメンバー構成を見たらそっちが不利なのは明白でしょう」
「単体の力はそこまででも、数で勝負できるんだぜこっちはよ!」
「はい、じゃあ丸太を抱えてくださいねー。よーい、スタート!」
ギシシシ
2チームの力は拮抗しているように見えた。
だがよくみると少しずつズワイガニチームの方に丸太が引き寄せられて行っている。
「ぐっ、やはりズワイガニだけの統一感力の入り方がいいな」
「さて、そろそろ勝負をつけてあげましょう」
ズズズズ。
「勝負あり!勝ったのはチーム徹くん!」
「ハーッハッハッハ!見たか、勝!やはり純粋なカニこそ至高!」
「まだ、一種目だけだしそもそも徹くんは、メグミちゃんのチームに負けてるだろう……」
「まあ、ほとんど結果は見えてるが、勝対メグミもやっとかないとな!」
「みんなどうせ勝てないから力を温存しとけよ~」
「やる前からそれはどうなんですか勝さん……」
「大人のエネルギー節約術ってやつさ」
「ほらほら、とっとと丸太を抱えて、始めろ!」
ズズズズズズーーーーーー
あっという間にわたしたちのチームが勝ってしまった。
「相手が省エネで勝ってもいまいち嬉しくないのう」
「まあガザ爺こっちも省エネで済んだからオッケーっすよ!」
「次は海遊競争かー、これは全チーム同時にできるね」
「ついに私の力をあのズワイガニに見せつける時が来ましたね!」
ワタルくんの目は闘志に燃え盛っていた。
海遊競争どういうかたちになるのやら……。
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