57話:窓ガラスが欲しい!2
家にとって窓はとても大切です!
異世界生活六十一日目
昨日はガラスの試作に成功した。
今日は朝からコメちゃんズを総動員して板ガラスの制作に挑戦する予定だ。
「メグミ起きてるか!」
「ん?ヤマトくんなあに?」
「昨日ガラス窓というもののイメージを共有しただろう。ガラスを木枠で囲っている作りだったからな、窓を加工しに来たんだ」
そういうとコメちゃんズが木材を運んで入ってくる。
「窓枠から作るんだね。まだ板ガラスが出来てないけど大丈夫なの?」
「鋳造であらかじめ板ガラスの厚みと大きさは決めれるから、先に枠を作っといた方がいいんだ。ガラス作りの方が神経を使うからな」
「なるほど~」
そういうとヤマトくんはハサミの先で器用に窓に溝を付け始めてそれをホリくんが磨いていた。
窯業をやり始めてからヤマトくんとホリくんは大体一緒にいることが多い。
陶器製造を通じて仲良くなったのだろうか阿吽の呼吸で作業が進んでいく。
コメちゃんズも木枠用の木材をバリバリ少しずつ成形している。
魔法も使えて工作も得意とか万能作業員だ。
コメちゃんズの指揮はいつもどおりミコちゃんが取っている。
常にイメージ共有して修正しているようだ。
作業の邪魔になるといけないので朝ごはんでも食べようと思ったけど、ヤマトくんたちは食べたのだろうか?
「みんな朝ごはんは食べたの?」
「もちろん今日は朝からガンガン作業するつもりだったから食べ終わってるぞ」
「わたしが遅いだけかぁ」
「なにメグミは自分のペースで生活すればいいんだ俺たちはやりたくて朝から作業してるだけだからな」
大ホールでサクッと朝食を済ませて戻ってくると窓に木枠がはまっていた。
「し、仕事が早い……」
「まだ仮組だけどな、さてガラスを作りに行くか」
「わたしも見に行くよ」
ガラス炉の前には大きな鋳型とたくさんのコメちゃんズがスタンバっていた。
「鋳型ももう出来てたんだ……」
「夜通し作ってたぜ!結構自信作だ」
「ちゃんと寝てるの?」
「朝少し寝るだけで割と俺たちは平気だからなメグミはたくさん寝ないとダメみたいだけどな!」
「むう、わたしだって早寝早起きしてるのに」
「そこはメグミ様は私たちカニとは違うので仕方がないでしょう」
「あれ?なんでナイトくんが窯業エリアに」
「ヤマトくんにスパッとガラスのバリ取りのための切れ目を入れてほしいと頼まれたので」
「はあ、ヤマトくんも色々考えてるんだねえ」
「最高の品を作るためには最高の準備が必要だからな」
「フフフ、ガラスのバリ取りが終わったら僕がスベスベにするからね、フフフ」
「まあ、まずはこのコメちゃんズの数で板ガラスが鋳造できるかどうかだけどな」
「砂はもう炉に入れてあるぜ」
オカちゃんがハサミを掲げながら言った。
「よしミコちゃん、コメちゃんズに点火するように指示してくれ」
「よーし、みんな!ガラス炉に全力照射!」
「「むーーーーーーーん」」
大勢のコメちゃんズがクマを倒した時よりも凄い出力で加熱し始める。
炉の覗き穴から真っ赤な光が漏れ出す。
ドロ~~。
炉から溶けたガラスが鋳型に注ぎ込まれていく。
ジュッジュワ。
型に注ぎ終わるとコメちゃんズが絶妙な加減で冷却していく。
ガンガン、ガシッ!
鋳型をずらし取り外す。
中では少し気泡があるが綺麗な板ガラスが出来ていた。
「おお!板ガラスだ!」
さっきの計画通り素早くナイトくんがバリに切れ目をいれて、
そこをコメちゃんズの加熱と冷却で切断していく。
すかさずホリくんが砂を持ち出して研磨をする。
綺麗にバリ取りが出きた板ガラスが出来た。
「よーし、みんな割らないようにメグミの部屋まで運ぶぞー」
端をオカちゃんたちが持ってみんなでガラスを運んで行った。
窓にガラスを嵌めるのに高さが必要なためガザ爺とヤッシーも合流した。
「よし木枠にガラスをはめて窓の溝に設置するぞ~」
「ヤッシーあんまり力を入れすぎるなよガラスは繊細だからな」
「わかってるっすよ~。ガザ爺じゃギザギザで無理だろうけど自分は加減効くんで~」
大柄のヤッシーが窓枠嵌めに抜擢されたようだ。
ヤッシーは見事に窓ガラスを嵌める。
「おお、外の景色も見えるしスライドして開け閉めも出来る!見事な窓だね!」
「でも、コメちゃんズがヘロヘロになってしまったから窓ガラスはいまはこれで最後だな」
「コメちゃんズ頑張ってくれたもんね。今日はゆっくりやすんでね!」
「「はーい」」
こうしてわたしの部屋に現代的な窓がついたのであった。
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