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55話:新しい我が家

新築はわくわくするよね

異世界生活 六十日目


嵐が過ぎ、新しい住処の建造を始めてから五日が経った。


「今日もいい天気だ!」


わたしは簡易ベッドから起き上がり、新しい家の窓から差し込む日差しを浴びる。


「窓を作ってもらったのはいいけど、吹きっさらしなんだよなぁ……」


次はガラス戸をつけたいな、などと考えながら入口へ向かう。


今の部屋は、嵐の時に避難した簡易避難所を改築したものだ。


浜辺を見渡せる小高い丘の頂上にあり、ちょっと偉くなった気分になる。


「よし、朝ごはんを作りに行こうっと」


丘は外周をなだらかな螺旋状の道が囲んでおり、カニさんたちも登りやすい造りだ。


わたしは丘の中腹にある倉庫エリアへ向かう。


「おはよう、ベススさん。七色カビの研究はどう?」


「ああ、増殖には成功してるぞ。毒素はまったくないが、食品の熟成には十分な量だろう」


「毒素なんてあったら大問題だよ! 出汁が取れなくなっちゃう!」


「そうならないよう、ちゃんと管理してる。毒は隣のキノコ栽培コーナーで我慢してる」


倉庫エリアには、カビやキノコを研究できる個別の部屋を作り、ベススさんに管理を任せている。


おかげで、失われた削り節の再生産も順調だ。


「変な毒キノコ、勝手に繁殖させないでね」


「心得ている」


ベススさんに軽く釘を刺し、鯖節と鰹節を抱えて倉庫を後にする。


丘は三層構造になっていて、最下層はカニさんたちと集まれる大ホールだ。


中央にはヤマトくん、ホリくん、ヤッシーが作った巨大な円形の陶板テーブルが鎮座している。


最近は、ここでみんなそろって食事をとるのが日課だ。


「メグミ殿、おはようですぞ! 今日の朝ごはんは何ですかな?」


「昨日ワタルくんが捌いてくれたアジと、お吸い物と、お米かな〜」


「豪華ですな! これなら今日も一生懸命働けそうですぞ!」


「ふーん、そうか。じゃあ水田の仕上げ作業もはかどりそうだな?」


「え、あ……オカちゃん殿、それはその……拙者なりに頑張っておりますから……」


「ははは、ケイちゃんは最近頑張っておるから、あまり責めるな」


「ガザ爺殿!!」


「新しい住処を完成させるために、みんな全力ですからな。私も全力で、この住処の“シンボル”を作っております!」


「……嫌な予感がする。もしかして、あの入り口の布がかかってるやつ?」


「はい! 今朝ホリ君に仕上げてもらって、ついに完成しました! 朝食後、ぜひご覧ください!」


「う、うーん……期待してるね」


食事を終え、わたしはワタルくんが総指揮したシンボルの前に立つ。


「モクさん、カムリさん。では、メグミさんに我らの全力を尽くした作品を!」


ザバッ!


そこに現れたのは――砂で作られた女子高生の像だった。


「……これって、わたし?」


「もちろんです! メグミさんの美しいシルエットに、モクさんたちが作った巨大セーラー服を着せた本格仕様! どこから見ても素晴らしい御姿を拝めるんですよ!」


「あ、うん……ありがとうね、ワタルくん」


彼らから、わたしはこう見えているらしい。


それにしても、なぜこんなに大きく作ったのか……。


もし誰かに見られたら恥ずかしすぎる。


でも、心を込めて作ってくれたものを無下にはできない。ここは耐えよう。


わたしは、中央の丘から各エリアへ続く道を歩きながら、次は何をしようかと考えるのだった。

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