3
拝啓、お父様、お母様
私は車に轢かれてから早12年経過しました。
最初、私は天国か地獄に来ていたと思っていたのですが、どうやらそれは間違いだったらしいです。
私を引き取ってくださった皺だらけの老婆は、ハリスと名乗った。ハリスおばさんは、共に生活していくうちにこの世界のことを詳しく話してくれた。
まず、初めにこの世界には東にあるオズバーン大陸と西に位置するシステリア大陸の二大陸が構成されている。私たちがいるのは東にあるオズバーン大陸で、オズバーン大陸にも北、西、東、南でそれぞれ様々な国が存在するらしい。その中で南東地区はアラバスタ王国・カルヴァン帝国・ハイブリニカ共和国の3カ国があり、中心に不可侵条約を組んだ巨大な森があるそれが死の森なのだ。昔は大地の精霊エピアから祝福された土地、別名エピアの楽園と言われたが3カ国の争いによって森は焼かれ花は腐り見るも耐えない残忍な姿とかしたのを見て大地の精霊エピアが怒り、死の森へと変えた伝承がある。
その後、死の森へ踏み入れたら最後帰っては来れない土地となり誰もが避けるようになった。大地の精霊の災いを目の当たりにした3カ国は、これ以上死の森での交戦は今後しないことを誓い不可侵条約を組んだそうなのだ。それ以降誰もが死の森に近づかないという暗黙の了解が出来たのだった。
つまり、私はハリスおばさんに出会わなかったら訳も分からず死んでいたのだ。これを聞いた時は、土いじりをしていたのについハリスおばさん大好きって抱きついてしまってスカートを汚して怒られたのだがそれも遠い昔の出来事に思える。
過去の話として言っているのは、3年前にハリスおばさんが亡くなったからだ。おばさんは、最初こそ怖い死神かと思ったが過ごしていくと面倒見のいいお婆さんだった。口では悪態を着いても、なんだかんだ世話を焼いてくれる祖母のような存在で、いつの間にかいなくてならない存在家族になってたのだ。
「いいかい、アンタ、あたしが、お、しえた」
「もういいよ話さなくてもうだい」
「ことを、わすれ、るんじゃないよ、バカ、娘」
「忘れない、忘れないよ絶対」
私の祖母の手はすぐに冷たくなった。いつ死んでも良いように、私が生活できるように錬金術の調合について幼い頃から教えていたのは気づいていた。だからこそ、この最後のことばだったのだろう。最後まで、素直じゃない人だな、と嗚咽して泣いていた。
私はハリスおばさんが大好きだった。
でも、これからは一人で生きていかないといけない。
祖母がなくなってからは調合が遅く、納品に間に合わせるため徹夜したり街まで道を迷ったりしていたが3ヶ月後はだいぶ慣れ3年たった今では苦労泣く生活できている。
元々、人と関わりたくない祖母と違って人と話すのに抵抗がない私は出荷先の街の住人とも顔見知りになって楽しくやらせてもらっている、
ちなみに今日はアラバスタ王国の西町で新開発の味付きポーションを納品した帰りなのだ。物珍しさから出荷額が高くついたが嬉しくて、ルンルンと森の中を歩いていく。
もう少しでアラバスタ王国の森付近をぬけて中間地区に着くなと考えた。
「ぅ あ」
うめき声が聞こえたような気がする。気の所為なのかなと思ったが、放っては置けなかった。なんせ自分も拾われた身だし、同じ境遇の子がいたら助けてあげたい。そうは思わずにはいられなかった。
「だ、だれかいるんですかー?」
手に持ってるランタンの光を頼りに探す。もう太陽が半分以上沈んで暗闇が近づいてる。早く探さないと。
「おーーーい」
叫んでも返答なし。やっぱり気のせいだったのかなって思い、元に来た道を戻ろうとした。
「ぎゃっ!」
何かに足をもつれて変な声を出す。当たったものを確認したら、そこには
鎧を着た金髪の麗しい男性が、血を流し横たわっていた。