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第八話 ケーキ(優花編)

 小テストが終わった後、私は机に突っ伏した。航平君はどこかへ行ってしまった。

 ああ、恥ずかしかったなあ///、でも航平君の反応、可愛かったなあ。また今度やってみよう。


「優花っち〜どうしたのさ?上手く行った?」

「まあ、ね。」

「さっすが〜!よくやったぞ優花っち〜。」

「うん。」

「でもなんで顔が真っ赤なのさ?」

「う、うう…なんでもない。」

「ふーん。」


 今私と話しているニヤニヤしてる友達は坂口杏。ロリコンにはモテるらしい。ツインテールの美少女だ。


「ま、いっか。頑張ってね〜。」

「うん。」


 杏は勘がいいのか、私たちが付き合ってるのを知っているみたいだ。


「そうそう。」

「ん?」

「お弁当交換するなら、もういっそのことずっとお互いのを作ってくれば?」


 毎日航平君の手作り弁当が食べられるのかあ。よし。


「ありがとう杏ちゃん!」

「いいのいいの〜、またケーキ食べに行こうね〜。」

「うん。」


 杏の小さな背中を見送り、私は昼休みに思いを巡らせた。




 昼休み、私はお弁当を食べ終わると吉村先生の所へ向かっていた。本当は航平君といろいろ話したいが、残念ながらそんな時間はなかなかない。この学校の先生は生徒を馬車馬のように扱うことが多いのだ。

 航平君、私の言いたいこと分かってるのかなあ?察してくれてれば嬉しいけど…


「優花っち〜」

「杏ちゃん。何してるの?」

「んー、ちょっと散歩。優花っちは…今から吉村先生の所へ行くのかな?」

「そう!なんで分かったの!?」

「わたしに分からないことあると思う〜?」

「あると思う。」

「うん。まあ、あるんだけどさ。」


 杏ちゃんは大体のことを見通してしまう天才だ。


「そんじゃ、がんばってね〜。多分赤坂君は校門で待ってると思うからね〜。」

「うん。」


 なんで校門にいるって言えるんだろう?そう思いながら吉村先生のところへ向かった。


「ごめんごめん。遅くなっちゃった。」

「気にしないで。」

「じゃあ行こうか。」

「はい。」


 私たちは校門で合流し、歩き出した。杏ちゃんはエスパーなのかな?それとも、航平君は杏ちゃんと仲いいのかな?たまに2人で話してるのも見かけるし…

 

「今日、寒いね。」

「はい。夜は寒くなるって言ってました。」

「手がかじかんできちゃうよね。」

「まあ、そうですね。」


 …あれ?なんで私はこんなこと言ってるんだろう?


「…」

「ポケットの中に手入れればいいのでは?意外と暖かいですよ。」

「…」


 航平君が丁寧な口調の時は心配してくれてるんだろう。でも、そのことを素直に聞く気にはなれなかった。私はむっつりと押し黙ったまま、足を速めた。


「優花!危ない!」

「きゃ!」


 いきなり航平君に手を引かれ、倒れ込む。どうやら、電柱にぶつかるところだったようだ。前方不注意なんて、私としたことがなにをしているのだろう。

 

「危ないぞ。気をつけて。」

「う、うん。あ、ありがとう」

「よし、行くぞ。」

「もう少しこのままが良かったのに…」

「なんか言ったか?」

「なんでもない!行きましょう。」


 そう言って、私はまた歩き始めた。赤い顔を見られたくなかったので、航平君の前を歩く。すると


「大丈夫か?」


 いきなり手を握ってきた。恋人つなぎだ。


「…うん!」


 なぜか、とても嬉しくなって、私は航平君と並んで歩き出した。




「ここがおいしいケーキ屋さん。」

「へえ。初めて見たなあ。」

「つい最近出来たんだよ〜。早く入ろう!」


 そう言って中に入る。前、杏ちゃんと来たときはショートケーキを頼んだけど、今回はムースにしよう。そう思い航平君を見ると、ショートケーキを頼むようだ。



「ここのショートケーキ美味しいよ。」

「へえ。優花は?」

「私はムース。ショートケーキは前食べたから。」


 私たちは席に座って食べ始める。航平君の奢りだ。


「美味い!」

「よかった。」


 航平君も喜んでくれたみたいだ。ムースもすごいおいしい。航平君も絶対好きな味だ。


「はい。」

「?」


 私はムースが乗ったフォークを航平君に差し出す。


「はい。あーん。」


 航平君は顔を赤くしている。どうしたんだろう?


「ほら。あーん。」

「あ、あーん」


 もしかして、小さい子供のように扱われてることが恥ずかしいのかな?確かに、この年にもなって「あーん」はないか。


「顔赤いよ?どうしたの?」

「い、いやなんでもない。む、ムースも美味いな!」

「でしょ!美味しいよね〜。」


 航平君も喜んでくれたみたいだ。やっぱりここに来てよかった!プルプル震えてるのはムースの美味しさに感動したからだろう。

 それにしても、隣の芝生は青いのか、航平君が食べてるショートケーキもすごくおいしそうだ。すると私の視線に気づいたのか、航平君もショートケーキを差し出してきた。

「ほら。」

「…あーん。」


 ちょっとからかってみるつもりでやってみる。


「はい、あーん。」

「あーん。やっぱり美味しいなあ〜!」


 ん~!やっぱりショートケーキもおいしい!


「ねえ。顔赤いけどどうしたの?」

「な、なんでもない。」


 なんで顔が赤いのか一瞬分からなかったが、1つ思い当たることがあり、言ってみる。


「間接キス、気にしてるの?」

「な!?」

「やっぱり〜、ふふっ、可愛いなあ〜」


 恥じらう航平君も可愛い!そう思いながらニヤニヤしていると、航平君に困惑の表情が見えた。


「食べないの?」

「た、食べますよ。」


 そういうと慌てたようにショートケーキを食べ進めはじめた。ムースを食べ終えた私はニヤニヤしながらその姿を見つめていた。


「ごちそうさまでした。」


 航平君にそう言って私たちは店を出た。割り勘にしようと思ってたけど、航平君が私のケーキ代まで出してくれたのだ。ここのケーキ高いのに…


 家に帰り部屋へ戻る。少し疲れたのでベッドに横になると、航平君とのやりとりが思い出される…

(うう…関節キス…恥ずかしいよ!なんで私あんなこと…///)

私はケーキの食べさせあいを思い出しあまりの恥ずかしさに枕に顔をうずめてジタバタ悶えていた。航平君、恥ずかしくなかったのかな…


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