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第二十五話 盗難事件の真実(優花視点)

「な、なに…?赤坂が…?」

「はい、嘘ですけど」

「は?」


 先生が呆れた顔をしている。確かに何を言ってるのか伝わらない…よね。


「まず、今回の連続盗難事件、明らかに異常です。被害者が多すぎる上に、盗られてる物までバラバラ。複数犯の可能性もあります」

「あ、ああ、俺も長らく担任をやってきたがこんなことは初めてだ」

「そこで、疑似的な犯人を仕立て上げます。きっとクラスメイトの誰かが仕組んでると考えてますので、犯人は上手く罪をなすりつけられると思うでしょうね」

「だが、複数犯の場合、どうするんだ?それに、犯人の狙いが分からん」

「確かに盗難の実行犯は複数です。ですが」


 私は確信を持って、常識では考えられないことを先生に伝えた。


「主犯は1人。実行犯、クラスメイトの大半は実行犯に洗脳されているでしょう」

「は?」


 先生はまた信じられないと言いたげに私を見る。


「洗脳と言っても、思考誘導みたいなものです。例えば、先生。先生が没収したものの中に麻生君の本や榎本さんのペンがあるはずです」

「な、なに?」


 先生は困惑しながらも没収したものを集めてある段ボールを見る。そしてその中から1冊の本、俺はロリっ子に飼われることにしました を持ってきた。


「こ、これか?俺は没収した覚えなんてないんだが?」

「はい、間違いなくその本です。麻生君が教室でタイトルを大声で言っていたのが記憶にあります」

「こんな本のタイトル…よく大声で言えるな…ってそうじゃなくて、どういうことだ!?」

「先生は結構校則に厳格ですよね。よく見回りして没収とかも結構やってる。そうですよね?」

「そうだな。確かに見回りもしてるし、没収もよくする」

「去年はどうでした?こういうことしてましたか?」


 これが私の聞きたいことだ。もし去年は没収とかしていないなら、話しは早くなる。


「去年?去年は…あれ?俺…こんな躍起になって没収とかしてたか?うーむ」

「ということは、今年からですか?」

「そ、そうかもしれん。でもなぜ?」

「このクラスに犯人がいると、確証が欲しかったからです。それで、この1年。定期的に先生と面談したりしてる生徒はいましたか?」

「いや、いないな。田中とかの問題児への説教はともかく、そういう相談は…」

「そうですか…面談とかでなくても雑談とかする生徒はいますか?」

「それはたくさんいすぎて絞れないな」


 あと一歩だと思ったけど、その一歩が遠い…。犯人はクラスメイトの誰かであることに変わりはない。


「なあ吉崎。俺の場合は校則を守るべきだという気持ちの強さを高められて…とかいうのはともかく、他の奴らはどうなんだ?窃盗願望とかあるってことなのか?」


 窃盗願望がある生徒がたくさんいたら社会的にどうかと思う。


「いえ、そのものが欲しい、その気持ちを極限まで高めたのでしょう。詳しくは本人しか分かりませんが。あと、生徒が盗ったものは犯人の手に集められてると思ってます」

「なぜだ?欲しいものを盗って、それを他人に渡すか?」

「そう洗脳されてるのかは分かりません。ただ、それぞれが持ってたらボロが出るでしょう。だってみんな盗ってる時、洗脳された時の記憶はないはずですから」


 正直そこまで詳しいこと聞かれても分からない。確証が持てないからだ。


「なら俺の場合はどうなんだ?」

「先生の場合は…没収BOXから回収出来なかった、とかでしょう」


 先生は、そうか… と言って考え込んでしまう。


「それで、なんで赤坂を犯人に仕立て上げる必要がある?」

「犯人の狙いはクラスの混乱、ターゲットへの攻撃でしょう。そして、そのターゲットは赤坂君でしょう」

「待て。なぜ赤坂なんだ?もし間違ってたら洒落にならんぞ」

「赤坂君の中学時代、似たような事例が起きてるんですよね。詳しくは赤坂君から聞いてください」

「それだけじゃ弱くないか?」

「この世の中に洗脳できる人なんてほとんどいない。赤坂君は今年こっちに引っ越してきた。似たような事例が起きたときのターゲットだった…、さらには赤坂君のものは未だ盗られてない、これらから、狙いはやはり赤坂君で、犯人に仕立て上げるつもりなんでしょう」


 そしてそろそろ私と同じ、嘘の目撃証言をしてくるに違いない…


「待て待て。吉崎、それはお前が今やってることだぞ?」

「ええ、だから先手を打ちました。赤坂君は犯人ではない。それを先生に信じてもらうため。また、犯人が動かなくても、強制的に場を動かします」


 そう。犯人が動いてくれればいいけれど、動かない場合がある。


「赤坂君が犯人とタレ込みがあったとなれば、絶対に真犯人は動揺するか、便乗して全盗難の責任を押し付けようとするでしょう。それをする人を私が教室で探します」

「なるほどな…だが赤坂にかかる誤解はどうする?」

「それは先生が無実だということを念頭に置いてもらうのと、赤坂君には出来ないということを証明出来るよう協力者を作ってます」

「それならいいんだが…赤坂にもちゃんと伝えておけよ。正直こんなことは気が乗らないが、こんな状況がいつまでも続くのは流石に困るからな」

「ありがとうございます、失礼します」


 私は職員室を出る。さて、あとは航平君に連絡して、明日を待つだけだ。


 そして明日への算段を立てながら下校し、近道の路地を歩いていると、奥から1人の少女が歩いてくるのが見えた。人1人が歩く幅しかないので私は道を譲ろうとして


「どうぞ」


 と声をかけ、相手の顔を見たその時


「ありがとうございます。おやおやー?

「ど、どうかしましたか?」


 川澄千歳…なんであなたがここにいるのよ!?

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