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第十五話 体育大会④ (優花編)

 フラついた足取りで家に帰り、自分の部屋に入る。


(航平君が浮気だなんて…嘘…どうすればいいの…)


 私の何が不満だったのだろう。何がいけなかったのだろう。そういうことばかり考えてしまう。


「お姉ちゃん夕ご飯出来たよ…ってお姉ちゃん!?何で泣いてるの!?」


 真依が入ってきた。私…泣いてるの?


「い、いや。真依が心配することじゃないわ。目にゴミが入っただけ…」

「そんな言い訳じゃ誤魔化されないよ!何があったか話してよ。どーせ航平君?のことなんでしょ」


 本当にこの妹はなんでもお見通しみたいだ。私は真依に今日あったことを全て話した。


「え?なにそれ!お姉ちゃんの勘違いってことはないの?実は別人だった〜とか」

「ないと思う。私が航平君を見間違えることはないと思うし」

「うーん」


 真依は顎に手を当てて考えている。何を考えているのか私には分からない。ボーッと妹を見ていると妹は喋り出した。


「私がパッと思いつくのは4つ。1つ目はお姉ちゃんがただ見間違えただけ」


 ないと断言したいけど、暗かったし0ではないのかも?


「2つ目は航平君だっけ?がただの浮気男だってこと」


 それだけはないと信じたい。


「3つ目はその女の子が航平君に片想いをしている」


 それは…あるかも。


「4つ目はその女の子が航平君の幼馴染とかそう言う関係だってこと。お姉ちゃんは航平君の昔のことは知ってるの?」

「いや、知らないのよ。あんまり昔の話したがらなくて」


 いつも昔の話を聞こうとするとそれとなく逸らされるのだ。


「明日本人に聞いてみるのが1番じゃない?動揺したり、嘘ついてたら怪しいし、普通に答えてたらセーフなんじゃない?」


 確かに…明日聞いてみよう。怖いけど、航平君を信じるしか私には出来ない。


「ありがとう真依。私明日聞いてみるよ」

「それでこそお姉ちゃんだ!さ、早く夕ご飯食べよ!」


 私は決意して妹と共に食卓に向かった。




 翌朝。少し早めに家を出た私は学校で航平君を呼び出す理由を考えていた。


(みんなのところでは聞きにくいから、やっぱり誘うしかないけど…昼休みは松田君や小山田君、田中君やあ…阿呆君?達と一緒になることが多いから難しいな…あとは委員会の手伝いということにする?それなら…)

「お姉さんあぶなー」


 色々考えている私に次の瞬間、ランニングしてる美少女と衝突してしまう。


「っーごめん!怪我はない!」

「わ、私こそ考え事をしてて…ごめんなさい!そちらこそ怪我は…え?」


 なんとぶつかった相手は航平君と昨日コンビニ前で会っていた女子だったのだ。


「ん?あれ?どこかで会ったことありましたっけ?」

「い、いや…」


 ふと私に天啓が舞い降りる。この子から聞くというのはどうだろうか。幸い時間に余裕はある。


「そ、それじゃ私はこれで…」

「待って!」


 思わず大きな声が出てしまう。


「うぇ!どうしました?いきなり大きい声出して…」

「あなた、昨日の夜、何してた?」


 急に相手の顔が険しくなる。


「なにって…なんであなたにそんなこと言わなければならないんですか?」

「コンビニ前、赤坂航平君と会ってたでしょ」

「なぜそれを?貴方には関係ないことでしょう?」

「いいえ、関係あるわ。彼女として貴方の行動は見過ごせないの」

「え…?彼女?」

「そ、そうだけど…」


 険しかった彼女の表情が一転、呆然とした表情となる。


「そう…よかった…」

「え…」


 小さな声で何か呟いたと思うと、いきなり顔を輝かせて


「ありがどう…航平君を…救っでぐれて…」


 いきなり泣き出した。この子なんなんだろう…


「な、泣かないで…ほら、ハンカチ貸すから…」

「ありがど…ズビッ…」


 …鼻はかんでほしくなかったかな。


「いきなり泣き出してごめんね!私は神崎茜!航平君の幼馴染だよ!あなたは?」

「私は吉崎優花。航平君の…彼女よ」

「そっか〜。後でいろいろ聞かせてよ!連絡先交換しよ!」

「い、いいけど…」


 私は神崎さんと連絡先を交換する。ぐいぐいくる感じはちょっと苦手だ。


「ありがと!優花もここにいたら遅刻しちゃうもんね!春から同じ学校だからよろしく!またね!」


 そういうと神崎さんは走っていってしまった。


(嵐のような人だったな…航平君、昔何が…って学校!遅刻しちゃう!)


 私は急いで走り出す。しかし思った以上時間を使っていたようで、朝礼ギリギリの到着になってしまったのだった。

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