後日談 エピソード9 かかってきた電話は軽くあしらわれる
なんと!
白上紫音さんが、ヒロイン、藤宮沙彩のステキなイラストを描いてくださいました!
後書きにてどうぞごらん下さい。
また、なろうにて、紅白紫音という作者名で、『World・of・battle』を投稿していらっしゃいます。
https://ncode.syosetu.com/n9490fp/
「沙彩……この電話番号って……」
「どうしたの、あなた」
「この番号って、学校の……?」
なんと、学校から家に電話がかかってきた。
「とりあえず私が出ますから」
「ああ、頼む」
俺はゴミを両手にかかえている状態なので電話に出ることが出来ない。
「ゴミ出し行ってくる」
「はいはい、あなたよろしくね、電話、ちょっと待ってね〜!今出ますからね……『はい、新田でございます』」
♢
『あっ……もしもし。新田様のお母様でしょうか』
『いえ新田一樹の、妻、でございますが』
『……はい?』
『はい、あの、どちら様でしょうか?』
『ええっと……新田くんの担任なんですが……新田一樹くんをお願いできますか?」
『生憎、夫は外出しておりまして、家におりません。すいません』
『えっと……今電話口にいるのは……もしかして……藤宮沙彩さん?』
『まあ、今のところ、藤宮、沙彩ですが』
『ど、どういうことなんだ?君、結婚するとかしないとか言ってるそうだが、そんなものは絶対に認められないからな!』
♢
電話口に今立っているのは、一樹。
『お電話代わりました、新田一樹です』
『君っ!なんか聞くところによると、藤宮沙彩さんと結婚するとかしないとか訳の分からないことを言っているそうではないか!』
『何か問題でも』
『も、問題でもって……そんな口の利き方はないだろ!ともかく明日藤宮沙彩さんと一緒に職員室に朝イチで来ること!いいな!』
『はい』
いきなり電話が切れるたようで、一樹が受話器を耳から離す。
「か、一樹……なんて言ってた、担任の先生……?」
「ん?職員室に朝イチで来いとか」
うんざりした様子の一樹。
「だ、大丈夫かしら……?」
「なんとかなるだろ」
「姫花に話してみるわ!」
「裏から手でも回すのか?」
「ダメかしら?」
「いいか」
一樹は、私の両肩に手を置く。
「沙彩のことは俺が守る」
私は、首を縦に何度も振る。
「だから、沙彩は安心しろ」
一樹は頭をポンポンする。
頭から蒸気が出るってこういう感じなんだ。
♢
翌日、俺と沙彩は、職員室に向かった。
「おはようございます、先生」
「君たち、単刀直入に聞くが、結婚したとか……こんなことが罷り通ると思ってるのか!」
「結婚なんてしてませんけど」
「な、なんだと?だから、その指輪はなんだと聞いてるんだ!」
沙彩はわざと、担任に見せびらかすように手のひらを向ける。
「婚約、指輪なんですけど」
「こ、婚約してるじゃないか!」
「はい」
「うちの高校は恋愛は禁止していないが……君たちはだめだ。すぐ別れなさい!」
担任は机をバンっと叩く。
職員室にいる先生方全員の視線がこちらを向く。
周りは俺たちの展開を見守っているようだ。
「先生、婚約と結婚の違いって分かってるんですか……?」
「な、なにぃ……?」
「先生そういえば、結婚されてましたっけ?」
「……」
「俺と沙彩は結婚までノンストップです。まあ、婚姻届は役所に出していないので結婚はそういう意味でまだしていませんね」
「……」
先生の肘が机から落ちる。
そして、頭を抱えた。
俺は沙彩の左手首を掴む。
「とにかく、俺は沙彩を守るって決めたんです。先生にとやかく言われる筋合いはまったくありません」
「……」
「あっ、先生、結婚式には呼びますよ。では、朝早くから失礼しました」
俺が職員室から出るときには、担任の机の周りに他の先生が集まっていた。
俺と沙彩は何故か数人の先生に拍手された。