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後日談 エピソード5 俺はこのまま押し込まれてしまいそうなんだがいいのか!?





そろそろ、新年を日本で過ごしたのでアメリカにでも帰るということなので、俺は家に両親を招き、食事をしている。


聞きたいことは山ほどある。


最大の疑問は、なぜ父親が婚姻届にサインしたのかということだ。



「おいっ答えろ。俺の父親と母親だったらこの状況がどれほどおかしいか、現実離れしているのかよーくわかるはずだ」



「…………?」



ダアアアアアアアア!


2人揃って首を傾けるなななな!


2人揃って目を合わせて口をぽかんと開けるなななな!



「あのな……」


「婚姻届出したのか?」


「婚姻届出したのかしら?」



ダアアアアアアアア!



「出してねーよよよよ!」


「女々しいな」


「ヘタレね」



ダアアアアアアアア!


普通喜んで婚姻届を出しに行く方がおかしいだろ。普通。


正月に結婚しましたーってどうやって俺は人生を歩めばいいんだ!?



「まあ、とにかくあのサインを見て、俺の結婚を認めてくれているということでいいのか?」


「いや……俺はお前が熱烈に藤宮さんの娘さんにアタックしていると聞いたもんだからな」


「私は沙彩ちゃんの気持ちを汲んであげただけなのよ、一樹」



ダアアアアアアアア!


沙彩の手回しかああ!



「俺の話をよく聞いてくれ。まずーー」


しっかりと沙彩による催眠術にかかっている両親を治癒して、どうにかしてお帰り頂いた。







俺は、テーブルの上の食器を片付けながら考える。



もしや俺の周りにはちょっとヤバい人が集まっているのか……?


沙彩。藤宮ママパパ。俺の母親父親。俺のおばあちゃん。桑野信介亜希子夫妻。



ダメだ……俺を社会的弱者に追い込もうとしているに違いない。


この若さで結婚させようと計画するだなんて正気の沙汰ではない。




でも……


沙彩のことが好きだし……その……このまま成り行きで……


結婚イコール……その……まあ。


結婚したら……その……夜に……できちゃった婚とか俺まだ責任取れない……



少しだけ俺は妄想を……



その時ーー


沙彩がどこからともなく現れ、俺の背中をバシッと叩く。



「何考えちゃってんの、あなた」


「う、うわあああ……驚かせるなよ」


「ふん。どうしてそんなにあなたが驚いているのか当ててあげる」


「フッ、当ててみろよ」



「エッチなことでしょ、もちろん相手は私……」


「ち、違う……」


「私はあなたのもの。いいのよ」



俺は一歩引き下がる。


沙彩は一歩進める。


一歩引き下がる。一歩進める。一歩引き下がる。一歩進める。一歩引き下がる。一歩進める。



だ、だめだ……もう後ろは壁だ……


これ以上引き下がれなくなり、両手を壁にくっつけるという最後の抵抗に乗り出すがもう無駄だった。



「逃げないでいいのよ、あなた。あなたはただ自分に素直になればいいのよ」


「や、やめろ……お、落ち着け。沙彩が鉄分不足だってことは分かった」


「なおさらグッドタイミングでしょ?」



沙彩は、上目遣いで俺のズボンのボタンに手をかける。


俺は心臓がばくばくしている。もしかしたら沙彩に気づかれているかもしれない。


俺もここらが年貢の納め時なのか。


俺が覚悟した時ーー



「あ、でも私、座るのがいいのよ」


「へ?」


「地べたに寝転びなさい」


「な、何をする気だ」



沙彩は何も答えずに俺の顔を両手でつかんで動かないようにする。


一体なんの真似だ。


ゆっくりと沙彩の顔を俺に近づける。



「キス……か?」


「キスでは満足できないの。もう私我慢できないの」


「なあ……モゴモゴ……」



沙彩の右手に俺は唇をつままれてしまい、喋れない。



沙彩は、余っている左手で顎を引くように頭を抑える。



「嫌なの?」


「…………」



聞かれても俺は答えられない。


首を振ろうとしても、頭を抑えられている。全ての意思表示手段を奪われている。


全ては沙彩のペース。



「あなたが本気で嫌だったらもうとっくにこの場から去ろうとしているはず、でもしなかった」


「…………」


「望んでいるのなら、言って欲しいの。私だって、こんなことあなたにしか言えないの」


「…………」


少しだけ頭を抑えていた左手の力が緩められる。



「あなたも私のこともっと知りたいでしょ?」



とろんとした沙彩の瞳に見つめられた俺は、頷くことしかできない。


こうなったら、もうどうとなれ!



俺は、俺の唇を抑えていた沙彩の右手を取って、逆に、沙彩の頭を俺の方に引き寄せる。







「え、桑野さんって近くに住んでいたんですか?」


「ええ。お宅の息子さんと同級生だなんて思いもしませんでしたよ」


「こっちこそ」



幼稚園の入園式でばったり出くわしたのは、桑野夫妻。



「あら、沙彩ちゃん!幼稚園一緒だなんて一言も言ってなかったじゃない!」


「亜希子さんは違う幼稚園の名前を言ってました。それも前勤めていた幼稚園」


「そ、そうだった……かしら……なんか心当たりある」




「ほら!こっちに来るんだ」


「パパー!ママー!」



俺のところには飛び込んでこない、沙彩の方に抱きつく。



「パパは嫌か」


「違うー!ママの方がいい」



俺と沙彩は微笑み合う。



「じゃあ、帰ろっか」


「ええ」


「えー!まだ夏美ちゃんと遊ぶの!」


「夏美ちゃん……って誰?桑野さんのお子さんは亜沙子ちゃんだったでしょ?」


「うん。だけど僕が遊んでいたのは夏美ちゃん。あ、夏美ちゃんのパパとママだ!」



…………お、おう。


なぜお前がここにいる。



「お、一樹!」


「山田!……連絡くれよ、大学出てからお前行方不明だったろ」


「まあな。すまん」


「で……お前の奥さんは」


「あ、紹介する。シェイミーだ」



…………?



「あれよね……姫花……よね?」


「ええ」


「シェイミー……?」


「あ、私ミドルネームあったの。だから」


「とにかく久しぶりねー!」


「ええ。全然連絡取れなかったの」


「どうして?」


「沙彩、電話番号変えたでしょ」



「あっ……」

「えっ……」



そうだった…………!



「あはは。新しい電話番号を教えるわ」



結構時間が経つ。



「よし!じゃあ、帰るか!来い、一政!」


やはり息子は俺に似てかわいい奴だ。


「うん!」



俺は一政の左手。沙彩は一政の右手。


握りしめて、家路につく。














後日談5話、投稿させていただきました。


いろいろ端折ってしまったところもあるのかなと思ってしまいました。


しかし、皆さんのブクマ、評価、感想、さらにはレビューまで頂き、一応完結かなというところまで来ることができました。


しかし。文字数が10万字まであともう少しということに気が付き、あと1話だけでも投稿すれば10万字達成ということになります。


本話ラストで子供のいる描写があります。これで終わりにしようかとは思いましたが、なんとかもう1話投稿します!



でも、いつになるかはわからないです……すいません。


ブクマをそのままにしていただき、お待ちいただけると幸いです!



では。


新作出します。もし良ければ、お読みいただけると嬉しいです。



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