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第45話 男らしいところを見せて初めて幸せは掴める







あきさんが沙彩に声をかけて、おそらく今頃玄関にーー



俺がそう思った瞬間、沙彩は玄関を開ける。


「お邪魔しまーす」


「おう」



なんか調子狂うな……



「お、沙彩。こんな夜遅くに呼んでごめん。これ、おみやげ……それとプレゼント」


「なに!?」


「蓬莱だよ、夜遅いから明日チンでもして食べてくれ」


「うれしい!ありがと、一樹」


「あと、これ、クリスマスプレゼント。手とか荒れてない?」


「あ、荒れてるけど……」


「クリーム。買ってきたから使ってくれ」


「こ、これって……資生堂のやつじゃん。いいの!?」


「いいよ、ま、クリスマスプレゼント……1個目かな?」


「1個目って…………?」


「クリスマスプレゼント、二個あるんだよ」


「えっ……」






俺は、ポケットから箱を取り出す。


四度氏で買ったネックレス。



「これ、ネックレスだけど……沙彩に似合うかなって」





な、なによ……決心揺らぐじゃない……ずっとずっとずっとずっと考えて考えて出した結論がゆらゆらしてしまうじゃない……


こんないきなりプレゼント攻撃なんて



…………卑怯よ。






私は……あらかじめ言おうとしていたことを気が付いたら口走っていた。



い、言うのやめようとしたのに……!



「あ、聞いたんだけど……恭子って女の子に一樹、フラれたんだ」


「そんなんじゃねーよ」


「ふーん。好きだった子にフラれた気持ち、どう?」


「お前何言ってんだよ……」


「いいよ、一樹。私ね、一樹のことなんか忘れて生きていくんだから」


「お前……」


「私ね、決めたんだ、一樹のこと忘れるって」


「…………沙彩!」


「私は安い女じゃないから。フラれたから取っ替えられるような女じゃないから。ふざけないでよ……どれだけ私が一樹のこと想っていたか。じゃあね、もう……振り回さないでよ」


私は立ち去ろうとした。


そして、一樹に呼び止められた。









沙彩は、そのままどっかにいこうとした。


このままでは、もう取り返しがつかない。


気がついたら声が出ていた。



「沙彩、お前嘘ついてんじゃねーよ!…………お前、東京生まれじゃないだろ」


「…………」


「俺、聞いたんだよ。お前、大阪生まれで大阪で4歳まで育ってそれから東京に来たんだって」


「……」


「それとな、ちっちゃい頃、あのお祭りで助けたのな、お前だったんだって、気づいたんだよ。俺がずっと好きだったあの横顔は沙彩のものだったんだって」



沙彩は、立ち止まる。



「俺は……好きなんだよ、沙彩のことが」


「…………」


「そりゃ……途中さ、ちょっと横道入っていったけど…………それでも!」


「…………」


「沙彩が……俺のことどう思っていたとしても、俺はずっと沙彩のことを愛してる」







「そう」



すると……沙彩は、俺の方にゆっくりと歩いてくる。




「私、一樹の家の横に住んでるんだよ?」



少しだけ距離がある。


その差を詰めるように、どんどん俺に向かって近づいてくる。



「…………えっ?お前、今なんて言った?」




3メーターも4メーターも離れていたら声、聞こえないじゃんか。


っていうことにして、少し聞こえないフリをした。




「だ・か・ら、私が、一樹のこと、嫌いになるなんて思ったの?」


「いや……思わ……思いたくないよ、そんなこと!」


「そんな、女の子ひとりにフラれてね、うじうじウジウジしている、女々しくてね、それでも人より数倍スケベな一樹になんかついて行く女の子はね、私しかいないんだから」


「偉そうなこと言って…………お前、何だかんだ言って俺のこと、好きなんだろ?」


「嫌いだよ、一樹のこと」


「なんだよ……」


「でも、離れてやんないんだからね、一生」


「……………………」


「どついても、しばき倒しても、一樹の近くにいてやるんだから」


「最後まで素直じゃないんだな……」


俺は、気持ちを抑えきれなくなった。








「なあ、沙彩。時間」


「な、なんの時間よ」



腕時計をちらっと見る。


時計の針は、0、12、どっちでいえばいいのか分かんないけど。とにかく長針と秒針が重なりそうだ。



「俺たちがキスする時間」


「な、何よそれ!」


「いいから、ほら、俺の荷物持っとけって」


「待ってよ!」




「魔法、解けるだろ」






カバンと紙袋を私に押し付けてきた。



「ほら、俺の人差し指見とけって」



顔の目の前に、人差し指を出してきて、一樹は私の左目と右目を交互に指し示す。



「俺、映ってんだろ…………」


「当たり前じゃん」


「ちょっと黙ってろ」


「あっ…………」



キスされちゃった…………




3秒くらいして、一樹は唇を私から離した。




その3秒は、止まっていた。




「あっ…………も、もう、何かあったらすぐキスして!一樹のキスって安いんだから」


「お前、俺のキスを安いとか言うなっ……」






「……………………」





お返しのキス。



一樹は、鳩が鉄砲食らったみたいに、目が点になっている。



かわいいんだから、そんな顔も。



本当にこれから私だけを見てくれるのか分かんないから、言う。




やっぱちょっと素直じゃないけど。




「私のキスってね、払い終わるまで、一生かかるから」










〜HAPPY END〜



完結。よろしければ、評価をお願いします。


長い間2人を応援してくださった方々、ありがとうございました。


祝。でも……ブクマ外さないで……外さないでください……ブクマ減ると後日談書けない……メンタル持たないから。


新作、出します。お待ちいただけると幸いです。



では。


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