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第41話 思わぬ運命は突然不意に訪れる






「じゃあ、ここでお別れね。かずくん」


「はい。では明日」


「じゃあね〜!」



俺は、荷物を抱えて新大阪駅を後にした。



それからタクシー乗り場へ向かう。


「お客さん、どこまで」


「梅田の桜橋口まで」






タクシーを降りた俺は、JR大阪駅、桜橋口の改札口の前で恭子ちゃんを待ち続けていた。



俺はぼうっとして周りを見渡していると、恭子ちゃんが駆け足でやってきた。


「お、久しぶり」


「一樹くん、久しぶり」


「コート着ている恭子ちゃんなんか意外」


「そ、そう……かな?」


「じゃあ、行こっか」


「うん」






こうして俺たちが歩き出すと、反対方向から



ある二人連れの姿がーー




「あれ…………あれ!?」


「か、かずくん!?」


「どうして!?」


「こっちこそどうして!?」





あきさんは、男と一緒に歩いている。


この男どこかで……見たことあるような……?


新大阪で恭子ちゃんと一緒に歩いていた野郎か……!






「か、かずくん……そちらが彼女さん……?」


「え、ええ。あ、高木恭子さん、です」


「た、高木……?」


「へ?」



ちょっと待って。


かずくんと一緒に歩いている……?


高木?


彼、高校生の娘さんがいるって話していたけど。



「えっと……ちょっとあんた!?あなたの娘さんじゃないでしょうね!?」


「あっ…………っとな、あきちゃん、あの…………あの」



恭子って女の子が、トドメを刺した。



「ど、どうしてお父さんここに!?」







「お、お父さん!?きょ、恭子ちゃん、この人……お父さん?」


「え、ええ…………って、この女の人とお知り合いですか?」


「亜希子さんって言うんだけど、俺の幼稚園のときの先生」



目の色が違う。恭子……ちゃん?



「お父さん、不倫って知ってる?」


「あっ…………あっ…………ああ」


「離婚でもしたいの?」



ええええええええええ。


ダメだ……コンボでダメだ……俺立ちすくみが……


恭子ちゃんはなおも父親に迫る。



「お父さん……不倫してたんでしょ?」


「い、いや、違うんだな、これは、なんて言ったら。あ、お遊びだ……ん?」



や、やばい……あきさん、怒ってるよ……!



「お、お遊び……?よくも言ってくれたわね……どんな気持ちでこっちは付き合っていたと思ってんのよ!?」



お父さん笑は、あきさんにビンタくらった。


あっ、痛そう……



「お二人とも待ってください!こんな道中で喧嘩はやめてくれって。とりあえず、近くのカフェにでも入りませんか?」





カフェに入る。


4人のただならぬ雰囲気を嗅ぎ取った店員は、恐る恐る「4名様ですか?」と聞いてくる。


お父さんが代表して黙って頷いた。


俺とあきさんが並んで座り、恭子ちゃんがお父さんと並んで座っている。



「それで?お父さん……言うことある?」


「えっ……あっ……なっ……ないです」


「東京で知り合ったの?」


「は、はい……ば、バーで」


「猿じゃないんだから手当たり次第に女の人追っかけてるんじゃないわよ」


「そ、そんなこと言うなよ!だいたいな、お父さんはな!」



あきさんは、横目でお父さんを睨みつけながら恭子ちゃんに言う。



「恭子……さん、もうこの人可哀想だから」


「やっぱり優しいんですね、あなたは。こんなダメ男の父に代わって謝ります、ごめんなさい」


「そんなことないのよ?」


「いいえ、あなただったからまだしも、他の人だったら今頃警察沙汰ですよ、本当にすいません」


「じゃ、じゃあさ、私たちはこれからお話するから恭子さんとかずくんで遊びに行ってよ」


「あ、じゃあ、あきさん失礼します」


「すいません」



恭子ちゃんは、あきさんに耳打ちしていた。


意味ありげにうなづいたあきさんは、俺にウインクした。


俺は不意打ちをくらい、キョドッてしまう。


その瞬間を恭子ちゃんは見ていて、一瞬で不機嫌そうな顔になった。





それから俺たちは、大阪で遊んだ。一緒に。


あの一件があってか、ムードはとても暗かった。


ずっと恭子ちゃんは一物あるって感じで……








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