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第38話 愛は幼馴染に向けられるって。ハッピーエンドですから





ついに終業式を迎え、3日後の今日。


大阪に行くってことは、あきさんと決めていたことなので、数日前から用意している。


そういえば、俺の両親から連絡があって、もうすでにおばあちゃんは退院しており、実家に戻っているって聞いた。


でも、念のため、俺の母親が当分の間付きっ切りで看病してあげるらしい。



恭子ちゃんーーーー



新大阪であったことは少し……いや、だいぶ俺の心に大きな傷跡を残してしまったけど、それから連絡をちょこちょこ取っている。





かずくんや沙彩ちゃんの幼稚園の先生じゃなかったらどんな運命だったんだろう。


ちょっぴり怖い。


新幹線で出会わなかったらーー


夜の9時みんなでテレビを見ている今が、どこか別のところで……働いて……働けていたらまだいいけど。


あの人ーー


謙介さんは、まったく連絡がつかない。


二人が学校に行っている間に電話をするけどまったく繋がらない。


私、捨てられてしまったのかな……ってすごい不安に思っている。





「あきさん、大阪行かれるんですか?」


「うん、そう……沙彩ちゃんにこんな話するのはどうかなって思うんだけど、あの人……と決着をつけないといけないから」


「けんすけ……さんでしたっけ」


「うん、そう。ダンディでね、そこそこ若く見えちゃってね、私はまだ独身かもって勘違いしちゃって。指輪もしていなかったし」


「そうですか。と、ところで……」


「ん?」


「ところで……あ、あのおう」


「どうしちゃったの。沙彩ちゃん変だよ?」


「けんすけ……って人の名字ってなんですか……?」


「名字…………?」


「はい…………名字です」


「あ、えっとね…………」





「一樹!」


俺は、新聞を止めるために販売所に連絡を取っていた。


外出するとなるとすることが多すぎて困るんだよな…………


「おう、どうしたんだ、沙彩」


「一樹って、大阪からいつ帰ってくるの」


「そうだな、クリスマス終わったくらいかな」





えええええショックショックショック…………


クリスマス、大阪で過ごすなんて…………あっ、でもまだ分かんないもん。


「クリスマス終わったらどうするの?」


「え?どうするって……まあ、正月を迎える、とか?」


「そうじゃなくって!」


「そうじゃあなくって?」


「くううう、私の口真似して!クリスマスはおばあちゃんとかと一緒に過ごすんですか!?」


「ああ、退院祝いも兼ねてな」


「へえ、そうなんだ。他には?」


「他?」


「例えば、あの……誰かと会う約束とかしてるのかなって」


「沙彩には言いにくいけど、まあ、そんなところかな」


「そ、そう……分かった。じゃあね」


「なあ!沙彩」


「なに?」


「いつも、ありがとう。大阪行ってる間くらい思いっきり休んでくれ。こんなこと俺が言うのもおかしいんだけどさ、俺、帰ってきたら、すっごい忙しくなりそうだからさ」


「忙しくなるってどうして?」


「あ、いや、ほら師走っていうじゃんか、年末年始は飛ぶように過ぎ去るって言うからさ」


「ふうん、そう。じゃあ一樹が女の子とイチャイチャしている時に私は一人寂しく家でじっとしているから」


「嫌味言うのやめろよ。大体恭子ちゃんに会う!……あっ」


「へーーそうだったんだ。恭子ちゃんに会う!……ねー。それはそれはウキウキしますねー。では行ってらっしゃませー!」


「違うんだ、俺はな、俺は……!」





家に帰るとあきさんは荷物のチェックをしていた。


「どうしたの?沙彩ちゃん」


「……あのう、一樹が恭子って女の子と会う約束してるって言ってました」


「なんで?かずくんはそんなこと言ったの?」


「ええ、クリスマスはきっと楽しい時間を過ごすんだろうって思って……私は一人で寂しく過ごしますよーだ!」


「落ち着いて?まずは……そうね」


「……落ち着いてますよ。だから大丈夫ですから。私…………私」


「どうしてかずくんが好きなのかってこと、聞かせてもらえる?」









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