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第36話 プレゼント





期末テストも難なくこなして学校もあともう少しとなり、いよいよ来週はクリスマスという頃ーー


デパート一階化粧品売り場と高級ブティックの間にある『四度氏』コーナーの長蛇の列に一樹と太郎はスタンバイしていた。


「おい、この列全然進まないじゃんか」


「男って必死なんだな」


「やっぱ、お前の彼女さんは喜んでたか、ネックレス」


「おう、次のデートでも着けてくれてた」


毎週日曜日にデートに出かける太郎は、自分の異常性、オーバーなスキンシップに気がついていないようだと一樹は思う。


この間、一樹がカフェで出くわした時もずっと二人が互いを叩きあっているのを見てしまい、毒気を感じた。


「ヒューヒューだね」


一樹は出来るだけ嫌味さを表に出して言った。


「風でも吹いてんのか、お前の頭の中では」


「ちげーよ、お前らお熱いなってことだよ」


「何がだよ、そんなことでお熱いって言われたら女に貢ぐやつら全員どうなるんだ」


「にしても、高校生には少々お高いだろ、このプレゼントは」


「新田家が何を言う。お前の小遣いが月に5万は越しているのを俺は知ってるぞ」


「生活費も入ってんだよ」


「節約すりゃすぐネックレスの一本や二本は買えんだろ」


「ていうかさ、聞いたか?今じゃ女が男に求めるにはティファーヌだって。あの青色の箱がいいらしいじゃんか」


「あれって高いんだろ?毎日が精一杯の山田太郎には縁のない話だな」


「背伸びしてでも買ってやったらどうだよ、お前の彼女にクリスマスプレゼント」


「そうだな……って俺、明日から塩舐めることになっちゃうだろ。お前こそ折角だったらプレゼント買ってやれって話。貰って嬉しくない奴なんかいないって」


「なんかさ、俺だったらプレゼントはどうかなって思うんだけど」


「彼女……なあ、お前の彼女は今誰なんだよ、派手にお遊び中の一樹さんよ」


「まあ、恭子……ちゃん?」


「きちっと電話してるか?」


「ああ、勿論だ。昨日だって話したさ」


「だったら一本だけ買って帰るのか?」


「いいや、あれだな……その……ふたつ買って帰ろうって思っていて」


「ほう。誰だ、あと一人は。あれか、幼稚園の先生か?」


「違うって……おっと、そろそろ順番回ってきたか?」


「お前、上手いこと話変えたな」





「ちょ、お前あれ、藤宮じゃないか……!?」


一樹が太郎の指差す方向を見ると、そこにはあきさんと沙彩の姿があった。


「山田、逃げるぞ!」


「おう」





「あきさんは彼氏に何買ってあげるんですか?」


「そうね……まだ決めてない。沙彩ちゃんは?」


「傘?」


「えっ……?かさ?」


「傘の先っぽでこついてやろうかと思って」


「……暴力はダメだよ?」


「わ、わかってますよ」







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