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第14話 恋人になった友人










俺、山田太郎は校門の端のほうで、最愛の人を待っている。


昨日、長いこと抱えていた気持ちを本沢姫花さんに伝えた。


なんで昨日だったかというと、それは2週間前に遡る。



最近、ハロウィンパーティーがあった。


俺が通う、英会話教室のイベントだった。


俺は英会話教室に水曜日通っていたんだが、なんと…………そのパーティーに本沢姫花さんも来ていたんだよ……!


まさか俺が好きな女子が同じ英会話教室に通っているとは思いもよらなかった。


彼女は、金曜日に通っているらしい。俺のクラスよりも上のレベルだったみたい。


そっから、パーティーで出会えた、この機会を逃してはいけないと思って、仮装で気分も盛り上がっているのも手伝ってーー


「今日、一緒に帰らない?」


って誘って、いいよって返事もらえてその日、彼女の家まで送ってーー


そっから、何回か会って、一緒に話したり、遊びに行ったりして、昨日、告白した。






夜、近くの公園、ブランコの横。2人っきり、他には誰もいない。


俺は、少し話があると言って、本屋に一緒に行った帰りに連れてきた。


この公園は、俺と彼女で初めて一緒に放課後、話した場所。


「本沢さん。話があります」


「はい」


「ずっと、本沢姫花さんが好きでしたぁ!!」


「…………は、はい」


「見た目で付き合えないのは分かってます!でも、付き合ってから、俺は絶対本沢さんに嫌な思いさせませんから!…………させませんから…………僕と付き合って下さい!」


「はい!」


「…………えっ。い、今なんと?」


「太郎くん、よろしくね」


「…………おっ?」


「だから、付き合お?」


「おっ、おっしゃあ!!よ、よよっろしっく?」


「そんな顔で言わないでよ。笑っちゃうよ…………アハハ」


「そ、そうかなぁ!?そ、そう言われると俺の顔って変な感じかなぁ?」





こうして俺は、昨日晴れて姫花と付き合うこととなった。


あ、姫花って下の名前で呼ぶくらい、朝にさらっと言ってやったからな!?




「あ、おまたせ!太郎くん」


「待たせたな、姫花。今日は最高の気分だね。さ、ステイションに行こう!」


「なにそれ…………で、今日放課後誘ってきたのはどうして?次に放課後会うのは明々後日にしようって言ってたけど」


「まあ、落ち着いて聞いてくれ。俺の親友、新田が人生最大のピンチに陥っているんだ。で、だな。そのお悩みの相手はーー」


「沙彩、でしょ?」


「…………分かってるってことは、もしかして姫花にも藤宮から相談された、とか?」


「そんな相談って感じじゃないんだけどねー。ちょっと悩んでるんだーって言われてさ。私は、頑張れって言っておいた」


「あの2人な……転んでもただじゃ起き上がらないからな」


「そう。ほんとうにその通り。もうね、好きなのか、嫌いなのか分かんないっていうのが正直なところかな。もうね、夫婦になっちゃってて、その中で夫婦喧嘩してるって感じかな」


「言い得て妙!…………でもな、あいつ、他に好きな女の子がいるらしいんだ」


「そう…………ね。そうみたいだね。沙彩の口ぶりで分かったけどね。そうだったんだね。やっぱり」


「一樹が誰を好きになってくれても構わないんだけどな。俺はな……やっぱり藤宮のあの姿を見てるとな…………どうしても藤宮を応援してしまうんだよなぁ」


「どうして?なんかあったのかしら、2人に」


「あいつ、一人暮らしなんだよな。一樹、全く苦労してないように見えるだろ?」


「そんなひとりで住んでるなんて初めて聞いた…………で、ご両親は?」


「仕事でどっか住んでんだって。一人ですることって、洗濯、家事、とかさ、いっぱいあんじゃんか、俺、時々一樹の家行ってさ、あいつの様子見てると家の中、なんかおかしいんだよなぁって思ってさ、聞いてみたら、あいつ全く家事らしいことしてないんだって。ま、皿洗いとかはしてるらしんだけど。で、誰がやってんのかって聞いたらさ、藤宮かも?って……『かも?』だぞ?非常識にもほどがある」


「そうだったの…………ね。それは…………沙彩は報われてもいいよね」


「ああ。もちろん。あんな藤宮の行動はな、ただの幼馴染じゃない。ま、カギ持ってるのは、両親が藤宮の親に預けてるらしんだけどさ。藤宮にそれとなく聞いてみたんだけどさ、藤宮が家に入るのはあいつがいる時だけだって言ってた。それで、あいつが例えば勉強だったりしている時は邪魔せず、静かぁにしてんだって。なんて殊勝な子なんだよ…………俺、一樹から藤宮じゃないやつの話が出てきた時、ぶん殴ろうか、ってちょっと思った」


「その、彼が好きな子の名前って聞いた?」


「…………あっ…………聞いて…………ないな。俺、知らない」


「そこちゃんと聞いときなさいよ。どっか太郎くんって抜けてんだから」


「そ、そんなこと言われちゃなあ?とにかく、とにかくだ。このままじゃ、あいつら多分仲直り出来ないからさ、なんか俺らが出来ることってないか?」


「なんだろ…………生徒会の仕事はこの間してもらったし…………なんなら、4人で遊びに行く?」


「おお、それいいじゃんか!ダブルデートってやつか?」


「そう!次の連休にでも誘って、どっか遊びに行こうよ。ね、これいいよ、絶対」


「早速明日にでも一樹に声かけとく」


「私も、沙彩に話しとくね」




やっぱ、俺たち、息ぴっったりだなぁ!


こう、物事がぱぱぱって決まっていくねぇ。




そして、駅に着いた。俺と姫花は、家が逆方向だから改札でお別れ。



「姫花、また明日な」


「太郎くん、またね!」





ホームで、向かいに立つ姫花。


ずっと、姫花がこっちをみてくるもんだから、俺も姫花を見つめる。


電車が右からやって来て、互いに姿は見えなくなった。


それでも、車両に乗り込み、窓から姫花に手を振った。手を振り返してくれた、姫花に投げキッスをしてみたらーー


そっぽ向かれた…………俺、最後の最後でやっちまったかな…………。









「なんなのよ、あいつ……投げキッスするのもね、おもしろいし、いいんだけど……」



なんで、沙彩の話しかしないのよ。


全然私のこと、聞いてもくれないし、話してもくれない。太郎のこと、彼は話してもくれないし、私も聞けない。


ちょっとムカついたから、最後の最後でそっぽ向いてやった。


明日も明後日も、同じ態度ばっかし取るんだったら、こっちにも考えあるんだから。


覚えときなさいよ!!











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