第12話 誤解
更新の方、遅れまして申し訳ありません。
これからもよろしくお願いします。
俺は、翌日に再度恭子ちゃんに電話することにした。
今度は、9時なんて遅い時間ではなく、6時くらいに電話することにした。
『…………はい、高木ですが』
『あ、昨日は突然電話切ったりしてごめん。新田です。恭子ちゃん、い、今電話大丈夫?』
『ああ、私は……………………』
『どうかした?』
『ううん。大丈夫。それで、電話なんかかけてきたのは……?』
『いや、昨日さ、電話した時に最後のほら、大阪にさ、行くって話なんだけど……』
『ああ!ちゃんと聞いてたよ。ええっと……12月の…………22日から来るって?』
『そ、そう。12月の22日だよ。また詳しい時間とかはさ、俺、追って連絡するからさ』
『う、うん……………………』
『…………………………恭子ちゃん、ご、ごめんな。なんか気まずい感じになったな』
『私、ちょっと別のこと考えてた。私の方こそごめんね。あ、そうそう、今日は電話の時間、早かったね。次にさ、電話する時は…………もう少し遅い時間にしてくれる?あ、別に用事はないんだけど、ちょっと…………ね』
『全然。恭子ちゃんにそんな気遣わせて、ごめんな。じゃあ、今度は……1週間後に電話するから』
『あ、分かったよ…………カレンダーに書いておいたから。約束だよ?』
『おう。じゃあな』
『うん。またね』
ーープープープー
通話終了の音が鳴る。
恭子ちゃん、今頃何してんだろ…………。
今すぐにでも、恭子ちゃんに会いたい…………。
会いたい…………彼女も、俺のこと気にしてくれてんのかな…………。
私は、家に帰ると机の上にお母さんの書き置きがあった。
ーー今日は遅くなります。また迷惑かけてごめんね。お母さんよりーー
私をまたひとりにさせて…………でも、仕方ないから。
お父さんが単身赴任しているもんね。
大阪で頑張っているんだもん。
じゃあ…………今日は一樹、誘ってごはん一緒に食べようかな。
そのままの勢いで……言っちゃおう!
好きだって、言っちゃおう!
それで、ぜえったい好きだって返事もらうんだから。
あ、でも……その前に、一樹が前に欲しがっていたハーゲンタッツのアイスクリーム、買って持っていってあげよう!
私は、ちょっと遠出して、ハーゲンタッツのお店に行った。
少しお値段、張ったけど……これぐらい、一樹が喜ぶんだったらいいもん!
安いもんだよ。ちゃーんと2個買ったもんね。
私はバニラで、一樹はチョコレート。
会計を済ませて、一樹の家に向かう。
アイスの入った袋を持っている、その反対の手で一樹の家の門扉を開けた。
ピンポン押すと一樹は嫌がるから…………リビングに回ろ!
そんな気遣いいらなかった。
ピンポンしておけばよかった。
大きな声で、来たよー!って言えばよかった。
リビングに回った時、一樹の声がした。
だ、だれか来てんのかな……?
窓ガラスに耳をくっつけて、盗み聞きした。
「…………恭子ちゃん、…………うん、そっち行くの…………12月22日だから……」
きょ、恭子ちゃん………………って今言った?
それって…………
もしかして、あ、あの、高木恭子…………のこと?
ウソだよね…………?
でも…………大阪に行くって言ってたよね…………だから、大阪にいるって…………あっ
たしかにーー
私は、大阪の方に小さい頃までいた。
その時の幼稚園の友達だった、高木恭子…………となんで一樹が電話なんか…………。
も、もしかして……………………一樹、恭子のこと…………
この間の電話も…………繋がらなかったのも…………きっと…………受話器が上がってたからじゃないよ…………電話してたんだよ…………
私が、全身から力が抜けて、その場にへたり込んだ。
「私って、何やってんだろ…………」
一樹は私に気が付いたみたい…………
「おい、お前何してんだよ。家入れよ」
「か、一樹のバカ!……私の気持ちなんか知らないで……女の子と電話なんかして……帰るから!」
「ちょ、ちょっと待てって、お前」
「触んないで!…………もう一樹なんか知らないから」
「い、いきなりなんだよ。俺がなにしたっていうんだよ」
「この間、私が家に行った時、電話してたんでしょ?…………何で…………何でウソなんかつくのよ…………その、今の女の子と電話してたんでしょ!」
「お前、そんなことどうだって……」
「どうでも良くないの!……いいよ、その女の子と仲良くしゃべってもらっても。全然私平気だから。でも……でも、私にウソなんかつかないでよ……信じられないじゃん……一樹のこと」
「信じるも信じないもなにもお前に関係ないだろ」
「関係あるから!…………ずっとずっと一樹のこと好きなんだよ、私」
「……………………」
「でも、その女の子のことが好きなんだったら私は全力で応援するから」
「俺はまだ何も言ってな……」
「はい、これ一樹が前に言ってたアイス。溶けるから早く食べてね」
「……サ、サンキュー」
「いいよ、お礼なんか。じゃあね」
「ちょっと家で話さないか?」
「優しいよね、一樹は。誰にでもそう。私のことはほっといてくれたらいいから。ほら、もう高校生も終わりだからさ、一人で頑張んなきゃいけないよね。お互い色々あるとは思うけどね。…………今日はお邪魔しました。帰るね」
ドアを開けて、誰もいない私の家に帰った。




