あの人に助けられ・・・3
僕は後悔した。
小百合さんに着いてきたことを。
「ふー、少々疲れたな」
家からだいぶ距離があったのに、少々疲れただけで済んで本当に同じ人間なのか疑いたくなる。
「そんなことより……」
僕も見たくても見ようとしなかった光景が目の前に広がっていたのは真っ赤だった。
最初は理解が追いつかなかったが途中で気づいてしまった。
気づきたくもないのに気づいてしまった。
この場所を真っ赤に染めた正体。
これは……
「血だな」
ですよね〜
「しかも、まだ新しい」
わかってしまったからには、当然僕は吐いてしまった。
大人ならまだしも、まだ子供の僕には刺激が強すぎる。
「大丈夫か、渚くん?」
とりあえず、頷く。
「だが、これでへばっててはこの先もっと酷くなるぞ」
これでもだいぶキツいのにまだ上があると思うと、また、吐きたくなってしまった。
その間、小百合さんが電話をかける。
「状況はどうなってる?」
『どうもこうもないわ、今あんたどこにいんのよ』
「すまない、今着いたばかりだ」
『あ〜もう、いいから早く来て!』
プツッ
「どうやら、急いだ方が良さそうだ」
再び僕はお姫様抱っこされ近くの高いビルまで連れていかれる。
上から小百合さんは何かを見つけそこへ向かって、僕を連れ急降下&超スピードで向かう。
「渚くん少し我慢していてくれよ」
このスピードは子供の体に負担が大きい。
意識が飛かけるのを必死に堪える。
すたっ!
「よく耐えたな」
ほぼフラフラだが何とか耐え抜いた。
だが、一瞬で目の前の光景に釘付けにされた。
「もう、遅い早く援護して!」
電話の相手らしき人物が”何か”と戦っている。
「渚くんは安全そうな所で隠れていてくれ」
僕は急いで物陰に隠れた。
「さて、私もひと暴れといこうではないか」
ローブを脱ぎ捨て、学生服の様なものを下に着ていた。
そして、どこからともなく刀を出し、”何か”を切りに行った。
もう1人の女性も学生服の様なものを着て銃?を撃っている。
「遅い、私の援護して弾切れそう」
「すまないな、ここからは私が死守しよう」
小百合さんが切って、もう1人が撃っていくと血は飛び散りだんだん”何か”が小さくなっていくのを感じる。
だが、小さくなるにつれ素早さが上がっている。
”何か”が小さくなり最小限になったとこに、トドメを刺しに小百合さんが細かく刻んだ。
”何か”は消え去り、いつの間にか辺りが真っ赤の血で染っていたはずが普通の街並みに戻っていた。
「はぁ〜、誰かさんが遅いせいで死にかけたわぁ〜」
「ははは、それは本当にすまないと思っている」
「で、そのガキは何よ」
「鶴宮渚くんだ、この子を私のパートナーにしようと思ってな」
「は?あんた正気?」
「ああ」
「まぁ、あんたがどんな子パートナーにしようが勝手だけど、こんな子供、ただのお荷物じゃないの」
全く持ってその通り。
「そんなことないさ、きっとこれから役に立ってくれる」
小百合さんは僕のことを過大評価しすぎだ。
「なんだっていいわ、私はもう行くから次はすぐ来てよね」
「わかってる」
会話が終わり女性はローブを羽織りその場から去った。
「私達も帰るとしよう、帰りにご飯でも食べて帰るか」
来た時は、急いでいたが帰りは、のんびり帰れる。
━━小百合さんの家
「さてと、ではまず紹介しておくか、今日あった女性は鶴田鳳仙今日見た通り銃を扱っている」
小百合さんは刀
鶴田さんは銃
あの化け物相手にしては結構普通の武器を使っている。
「私達は、普段あの化け物通称 怪絶と戦っている、姿が怪物で絶望を振りまく災厄だ」
結構名前の由来見たまんまだな。
「そして、怪絶を倒すために造られたのが私達の持っている武器 拒絶といって、私達が拒絶すべき対象ならその全てに対し拒絶が発動し敵を討つ」
だから、最初にあった時もあの男達を拒絶したと判断したから切れたのか。
「この拒絶にはその人の用途にあった武器が生成される、私は刀。鶴田は銃。といった通りにだ」
理解したように頷く。
「で、君にもこの拒絶を生成してもらおうと思う」
僕に出来るわけない、確かに出せたらかっこよさそうだけど。
「生成させるのは簡単だ、ただ、それを維持するのが難しいのだ。生成時に自分の今拒絶したいモノを思い浮かべる。そして、それを最後まで拒絶し続けることだ」
聞くだけなら簡単そうだが、やったら絶対きついんだろうな。
「では、やってみるといい人間皆 拒絶は持っている君にもきっと出来るだろう」
やり方を聞く。
1、深呼吸し心を落ち着かせる
2、目標を思い浮かべるor見て確かめる
3、その目標を最後まで拒絶しきるための集中
4、生成
5、改めて目標を確認し、維持し続ける
「まず、1番から深呼吸しリラックス」
大きく息を吸い、吐く、これを3回に分けて行った。
「そして、次に拒絶目標を思い浮かべるか見て確かめる」
イマイチ、ピンとこない。
「えーと、今の渚くんなら親?とか」
親に否定されたことを思い出す、それでも、嫌な気分。
「それを集中させる」
集中集中……
「そうしてたら、自然と武器が生成されるはず」
自然と……自然と……出た!
「やれば出来るじゃないか、それを維持するために目標を再確認して集中するとその形が保たれるはずだ」
出来た!
「珍しい武器だな、武器と言っていいのか?」
僕が生成させたのは、宙を舞っている無数の盾だった。
「盾とは珍しいというか見たことすらないな、基本は攻撃系の武器が相場なのだが完全サポート系とは」
どうやら、僕の出せた系統の武器は小百合さんも見たことがないらしい。
「盾か、やはり、君をパートナーに選んで正解だったらしいな」
攻撃は出来ないかもしれない、けど、この盾で小百合さんを守ることが出来るなら、十分すぎる。
「改めて私のパートナーとしてよろしく頼むよ、渚くん」
「はい!」
僕の新たな生活と人生が始まった━━