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第一章・入隊 〜軍隊生活と飛行兵志願〜(2)陸軍生活第一歩

 役場からは大石茂氏、親族からは小井手行雄氏の付添いで下関まで送って貰った。

 受付が終わるともう軍人の部に入る。あらかじめ用意された軍服に着替え、“見事な兵隊さん”となった。陸軍飛行二等兵というところだ。総員240、50名だったか定かでない。

 翌1月8日には家族の見送り人とも別れ、夕方乗船。関釜連絡船『興安丸』の人となる。乗船後、ただちに夕食のテーブルに着き、鼻をくすぐる匂いのおいしいご馳走に舌鼓を打った。船は静かに滑り出していた。

 1時間も経った頃、船はだいぶ揺れて来た。船室に横になったが、船酔いが回って来た。海上は風雨でしけていた。揺れるのが当たり前だ。急いで上甲板の便所に駆け込む。胃の中が空っぽになるまで反吐してしまったが、船室へ戻っても尚、酔気は治まらない。また甲板に上がって吐くも胃液が少し出るばかり、船室にて横たわるものの上下左右に揺れて地獄同然。「もう二度と船に乗るのはまっぴら」という思いは、終生つきまとった。

 翌朝、釜山港に着いた。下船して気分もだいぶ良くなったが、頭痛は止まなかった。20分余り行軍して神社の境内で休止があった。夜の汽車の時間待ちらしかった。平壌まで15、6時間かかるらしい。

 翌1月10日朝、平壌到着。隊列を組んで航空教育隊の営門を潜った。緊張した一瞬だった。ただちに各内務班に分かれ、僕は十五班となった。今日から軍隊生活の第一歩が始まった。入隊式には厳めしい大佐の隊長訓示があり、寒気のため手足は痺れ感覚をなくした。

 軍人としての基本動作が、凍りついた営庭で毎日毎日続いた。不動の姿勢から挙手敬礼、右向け、左向け、回れ右、前へ進め、早足、駆け足等。これらの動作の終わりには、必ず早駆けが課せられた。「向こうの電柱まで早駆け始め!」これには参った。地面が滑るので早く走れない。どん尻から10人はもう一回早駆けをくらう。二度目はもうヘトヘト。辛い思いも何度かあった。

 動作の基本が終わると今度は三八銃を渡され、その取り扱いや手入れはもちろん、屋外での訓練。捧げつつ、立てつつ、担えになえつつ立撃ち、膝撃ち、寝撃ち等、一通りの訓練が約3ヶ月続いた。そこで各兵科に分かれる事になった。

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