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第一章・入隊 〜軍隊生活と飛行兵志願〜(15)第二次試験と南京虫

 昭和15年12月某日、本部からの命令伝達があった。半分諦めていた操縦試験の第二次受験のため【京城陸軍病院に出向すべし】の命を貰った。信じられない喜び。遠くハルビンで第一次試験を受けていたのが合格していたのか。だが、今度は第二次試験、「ますます難しくなったら、どうしようか」という心配の方が大きかった。

 僕の部隊からは二人だけだった。もう一人は歩兵科から転科して来た藤原軍曹だった。共に一次の合格を喜んだ。藤原軍曹が引率してくれるので、僕は大船に乗った気分であった。 

 試験の前日は京城の歩兵部隊に宿泊した。下士官室にでも泊まれるものかと思ったら、内務班での合同宿泊だった。廊下側に二人分の寝台が割り込み、寝具の毛布が支給された。ここの兵隊から「南京虫の訪問があるから」と毛布のかけ方を教えられ、下から虫が上がって来ないよう敷布団側を垂らして床を延べて貰った。ここの連中はもう慣れているので、南京虫なんか何ともないと言う。

 夜中12時過ぎに南京虫の襲撃。僕は首筋、足首、手首と至る所に30数ヶ所くらったが、歩兵科出身の藤原軍曹はいくらか免疫があるのか、十数ヶ所のみ赤く腫れ上がっていた。会寧の僕の部隊には南京虫等はいないのに、ここにはどうしてこんなにいるのか、消毒が徹底していないのか、部隊の衛生管理ができていないのか。いずれにしても僕は部隊の恥だと声を大にして言いたい。

 翌日、京城陸軍病院で身体検査を受けた。検査官の軍医から、「これは何の跡か?」と尋ねられ、「南京虫に刺された跡であります」と言ったら苦笑していた。試験は特に難しいものではなかった。体重、身長等の一般測定の他、座った回転椅子を回し、止めてから目の定まる時間、手足の屈伸等があり、適性の筆記試験も簡単に終わった。概して心配する程のものでもなかったが、結果が出るまでは分からない。

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