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お姉ちゃんと第2ボタン



家に帰って、晩御飯を家族みんなで食べて、テレビを見る。

テレビ番組はそのチャンネルも人気のお笑い芸人が司会をし、

それぞれ色んな企画でゲストと盛り上がっている。


『特製スモークサーモン サラダとガルニチュール添えのお値段は・・・!?』

「これ8000円だね」

「5000円。」

「間をとって6500円!」


テレビを見ながら、お母さんと弟と、お姉ちゃんが自分で予想を立てている。

お母さんはいつも高く見積もりすぎて外す。

間をとってるお姉ちゃんは、番組レギュラーでMCもやってる芸人のファンだ

こういう時はだいたい弟が当たるので、私はそれに乗っかっている。


お父さんはというと、今日は仕事で忙しいのか、

ご飯を食べてすぐに自分の部屋に行ってしまった。

ちなみにお父さんの予想は8割当たる。

レギュラー取れる!っていつも言ってるので、父の予想が聞けないのは残念だ。


『こちらのお値段は5000円で見事ピタリ!そして入山は大誤算〜〜!』

「「「「あーー」」」」


CMがあけて値段が発表されて、みんなが口を揃える。

ブブッとスマホが鳴る。メグミからだ。


  【今日は迷惑かけてごめんねー。

   あたしが一番取り乱しちゃった・・・】

                           【だいじょぶ!】

                     【あやも男の人じゃなくて

                      女の人からって言ってたし】

  【そだね】

  【ありがと】

  【澪はうらぎんなよ〜〜〜】

                      【うえーそれはどうかなー】

  【はー?】



絵文字なんかつけてみたり。

こういう時間は楽しい。けど、ふと思い出してしまった。

彼は明日も探しているのだろうか。


「ねー澪。お風呂はいろ。」


そんなことをぼーっと考えていると後ろからお姉ちゃんが抱きついてきた。


「お姉ちゃん1人で入って。」

「えーーーいいじゃん減るもんじゃないしいいい。」

「減る。ゴリゴリ減る。てか暑い。」

「暑い?じゃあ脱いじゃお!さぁお風呂だお風呂だ〜。」


ガバっと私のTシャツを脱がし、ブラジャーもパツンと外される。

声をあげる間もなく一瞬で脱がされた。

この「刹那の脱がし(命名:姉)」はお姉ちゃんの特技の一つ。女の敵である。

まぁ毎回食らうのは私か弟で、気付いたら弟は消えていた。

母親はいつものことかとテレビドラマを見てやがる。

そしていつのまにか真っ裸になったお姉ちゃんに抱きかかえられ、

私はそのまま風呂に連行された。


風呂で洗いっこしながらお姉ちゃんの彼氏の愚痴を聞く。

これが恒例行事なのだが、ふとお姉ちゃんからこんな質問を投げてきた。


「澪さ、今日帰り道でなんかあったでしょ。」


う。なんでわかんの?


「澪はそうやってすぐ顔に出るからカワイイよね〜」


クッソ、バレてやがる。こういう時はめっちゃ鋭いのだ。


「ん〜と・・・お姉ちゃんって第2ボタンもらったこと、ある?」

「へぇ・・・へぇえええ?澪もやっとそういうのに興味持つようになったのかぁ」


にやにやと笑うお姉ちゃんに「茶化さずに答える!」とお湯をぶっかける。


「・・・んーとね、もらったこと、あるよ。」

「あ、そうなんだ。」

「うん、ある。・・・そうさなぁ、これはもう50年も前の話になるんじゃが・・・」

「いやお姉ちゃんそしたらあたし60超えてんですけど」

「うへへへ、冗談冗談。」


急に昔話のように話すお姉ちゃんだが、高校卒業したのも去年のことである。


「・・・あのね、私がもらったのも澪とおんなじ時だったかな。

 高校2年生にあがる前の卒業式。私、一目惚れで好きになっちゃった先輩に

 『ボタンください!』ってアタックしたのね、喋ったこともないのにさ。」


お姉ちゃんもこんな表情をするんだ、と思った。

いつも彼氏の愚痴ばっかりだったので、新鮮だった。

一目惚れか、そんなの私もあるんだろうか。

でも今の学校じゃそんなの無さそうだしなぁ


「・・・って澪、聞いてる?」

「あ、あ!ごめん!聞いてる聞いてる。」

「もう。のぼせてるんだったら上がろっか。」

「・・・うん。ちょっとのぼせちゃったかも。」


風呂を上がって、自分の部屋に戻る。

お姉ちゃんはお母さんと一緒にドラマを観に行った。

第2ボタン。

私とは多分、縁はない。

でも、私もお姉ちゃんみたいに一目惚れしちゃったら、

その人のボタンを欲しいと思うのだろうか。

そんな衝撃的な出会いってあるのだろうか。

こんな私でも、ボタンをくれるのだろうか。


そう考えながら、目を閉じた。


次の日、私は自分でも信じられないような出会いをして、

信じられないようなことになるなんて、思ってもみなかった











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