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東方運命録  作者: 甘味処アリス
進化異変の章~the evolution of life~
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第7話『チルノを越えて』

 キャンディの言葉に、俺は頷いて返して再びチルノの方を向く。チルノは氷で巨大な剣を作り出し、それをこちらに向けて射出した。

 後ろには人がいる。これはかわしてはいけない……!


 当然のように飴の壁を突き破ってきた巨大な氷の剣を俺は霊力の剣で受け止める。

 キャンディはグミの糸を作り出して、俺が抑えている氷の剣に巻きつけ、氷の剣を完全に抑え込んだ。


 俺はそれと同時に氷の剣の傍を通り、上段からチルノに切りかかる。チルノは氷柱で俺の剣を受け止め、俺に左手をつける。次の瞬間、衝撃波のようなものが俺を弾き飛ばした。そんな俺をふわふわとした巨大な綿飴が受け止める。


「悪い」

「気にしないでください」


 綿飴を作り出したキャンディはそう言うと、大量の飴玉やゼリービーンズを作り出してチルノに撃ち出す。

 チルノはそれに対して氷の障壁を作り出して防御する。俺はその隙にチルノに向かって走り、跳び蹴りで氷の壁を突き破ってチルノに攻撃する。


 チルノは両腕を交差させて俺の跳び蹴りを受け止め、それを真上に跳ねとばした。

 俺は空中で霊力で体勢を操作して剣を構えて突撃しようとすると、チルノは巨大なドリルのような氷を作り出して迎撃体勢をとる。次の瞬間、ゼリービーンズがチルノの腹に飛んでチルノを貫いた。


 妖精だからか血こそ出ていないが、しかしチルノは怯んで迎撃体勢を崩した。俺はその隙をつき、霊力の剣を巨大にしてチルノに振るう。

 その剣はチルノの巨大なドリルをも切り裂き、チルノを切り裂いた。


「…………!」


 チルノはその一撃を受けて消滅した。妖精だから、消滅してもある程度したら復活するだろう。チルノが消滅した後には、一枚のスペルカードが残されていた。


「これが……チルノをおかしくした原因か?」


 自然とそのカードの宣言が頭に思い浮かぶ。これは……フランのスルト同様に、俺に所有権が発生したと考えていいのか?

 まあ、いい。……このスペルカードを使ったら俺も暴走するとかないよな? ちょっと怖いけど……。


「なっ……おい! アレを!」


 俺がスペルカードを拾うと同時に、町人がチルノが来た方向を指さした。それは紅魔館の方にあり──どこまでも高くそびえたつ、巨大な塔だった。昨日はあんなものなかったはずだ。これが霊斗や霊夢の言っていた、異変とやらだろうか。


「アレは……ただ事じゃあないな」

「そうですね。どうしますか?」

「どうするもなにも……行くしかないだろ」

「ふふっ、そう言うと思ってました。私は人里で被害にあった人たちを助けます」

「分かった。じゃあ、異変を解決したら次こそちゃんと君の店に行くよ」


 俺はキャンディにそう言って元のサイズに戻った霊剣を霊力に戻して体内に変換し塔に向かった。


◇◆◇◆◇


「うぐっ……凄い向かい風だな……」


 俺は塔に向けて、向かい風の中少しづつ歩いていく。

 しかし向かい風のせいで歩みは遅遅として進まない。だが、陸路でこれなんだから空路では間違いなく風に飛ばされていただろう。それを考えれば、遅くはあるが進めないよりはマシだ。


 そう思っていると、後ろの方から何かが凄い勢いで空を飛んで塔へと向かっていった。こんな向かい風の中どうやってんだ!?

 姿を見るかぎりだと、その見た目は霊夢にそっくりだ。もっとも、リボンを頭にしてないところとか違うところもいくつかあるが。


 そんな少女は塔に向かっていく。彼女も異変解決に向かっているんだろうか。霊斗たちに娘がいるなんて聞いたことないが……いや、確かにいる。それは俺の記録を遡れば分かる。


 大方、聞かれなかったから答えなかったってところだろう。まったくあの2人は……。だが、彼女以外には子どもはいないみたいだ。

 うまくやれば共闘も可能か。


 俺は高速で移動する彼女に追いつくべく、霊力を使って空気を裂きながら高速で跳んだ。


◇◆◇◆◇


 少しすると塔にたどり着いた。だが……遠目からでは分からなかったが、たくさんの霊力が漏れだしている。それに惹かれて、大量の下位妖怪が集まっていた。下位とはいえ、その数は膨大だ。さっきの少女も、妖怪の群れに足止めを食らって中々進めていないようだった。


「手伝おうか?」

「なっ!? あんた誰よ!」

「俺は日向大和」

「そう。まあいいわ、手伝ってくれるっていうなら頼むわ。邪魔はしないでよね!」

「もちろん」

 

 俺と少女は緊迫した状況で手短に会話をすませると、共に武器を構える。しかし……妖怪の数が尋常じゃないな。


「……試してみるか。氷結『永久凍土の群生竜(エケネイス)』」


 俺はチルノを倒して得たスペルカードを唱える。その瞬間、チルノがつけていたような氷のマフラーが纏われた。そのマフラーの両端はそれぞれ氷でできた龍の頭になっている。

 なんとなく、このスペルを使っているときにできることが分かる。こういう時霊衣ってのは便利だ。


 俺は左手を正面に向ける。次の瞬間、大量の氷でできた小さな龍が現れ、正面にいた妖怪にぶつかって蹴散らしていく。

 この霊衣を使うと、氷の龍を使役できるようになるみたいだ。チルノのように氷系の能力を高める効果もあるんだろうが……本来の用途はこっちだろう。


 俺がそう思っていると、氷龍たちはそれぞれ妖怪に食らいついたようだ。俺がそれを確認して手を握ると、一斉に氷龍に咬まれていた妖怪たちが凍りついた。


「……なにこれ。あんた、凄いわね」

「所詮借り物の力だけどな」


 俺はそう言いながら弾幕を展開して妖怪たちを一匹残らず倒した。少女の方も終わったらしく、こっちの方に近寄ってきた。


「大和、私は博麗霊歌。改めてよろしくね」

「ああ、こちらこそ心強いよ。よろしく。さて……この塔を調べなきゃな」


 博麗姓……やはり、間違いなさそうだ。そんなことを思いながら俺たちはお互いに頷きあい、それぞれで塔の入り口を探索した。

オリキャラ紹介②

名前  博麗 霊歌

種族  人間

能力  使いこなす程度の能力


 霊斗と霊夢の娘。一人っ子。霊夢の才能と霊斗の努力する性格を継いだ、極めて卓越した戦士。巫女としても優秀な、現博麗の巫女。異変解決の依頼が重なりすぎた結果、霊夢と霊斗に博麗神社を任せたっきりで戻らないまま三ヶ月が経過し、塔や強くなった妖怪の出現を感じ取って今回の異変に臨んだ。

 本人の気質はさっぱりとしており霊夢同様に様々な存在から好かれることが多く、弱い妖怪たちからは恐れられている。

 能力は使いこなす程度の能力。この能力の有用な使い方としては自分の肉体を使いこなして極めて練度の高い戦闘を行う、作中のように風の動きを使いこなして高速で移動するなどが挙げられる。

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