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門の外。
「冒険」…彼は突然考えた。
「冒険とはなんだろう。」
「やってみたい!」
彼はそんな気持ちで溢れていた。
彼の名前は天武。IT社会の今でも家柄を守り武士をやっている。今の時代、武士は国宝、絶滅危惧種の扱いとして税金で暮らしている。そんなこともあって、天武は呑気に自由に暮らしていた。天武には武士友達の龍がいた。友達はたった一人。会うのも年に1回あるかないか。龍にはたくさんの友達がいる。だからこそ、ちっぽけな友達の一人、知り合いとして扱われているのではないかと不安だった。
ある日、天武は父の雷炎と共に出かけることになった。久しぶりの外。楽しみで仕方がなかった。いつも一人で寂しさを紛らわしていた庭が今では輝いて見える。そして、天武は久しぶりに門を出た。