表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オレの名前は小者Bだ  作者: トスカ
4/4

初めての言葉

遅かったですね。

ブックマークが二個になっていて凄く嬉しかったです。

応援よろしくお願いします。

魔族はやはりオレの母親だった。

甲斐甲斐しくオレの世話をしてくれる。

…魔族の女。

こいつだけは前世で会う事が無かった。

だから迷惑を掛けないようにする。

甘える気は無いが、まぁまだ嫌いじゃない。


「よしよしサクト…子供ってこんなに愛想が無い生き物だったかしら?」


黙れ魔族。

人類の敵。

おっとオレはこいつを知らない見かけで判断してはいけない判断を下すのは知ってから。

良い呪文。










あれから2年が過ぎた。

オレは2年分成長した。

そして今日はオレが初めて言葉を話す日だ。

何で今日か。

それはオレの頭の良い弟が喋ったのが、このくらいの歳だったからだ。

女性陣は早く喋って欲しいと毎日自分の名前の次に母さんを付けた言葉を話してきた。

ま、呼ばねえけど。

オレが一番聴いてた言葉を話すと決めているのだから。


「はーいご飯食べれて偉いでちゅね〜」


「く…、きぃ」


「!!喋ったわ!」


「なに?!」


「本当か!?」


「ついに…ですの?」


「何て……言っているの?」


「…くそガキ」


「「「「「?!」」」」」


「くそガキぃきゃっきゃい」


おお驚いてる。

魔族改め母上が一番かと思ったが…

一番驚いてるのは青年改め父上かぁ。

まぁ我が子の第一声が『くそガキ』だもんな。

でも実際一番聴いてた言葉は『くそガキ』だった。


オレは時々そんな風に呼ばれていた。

特に母親になれなかった女達からだ。


「ね、ねんねしましょうね〜」


母上がオレに魔法を掛ける。

毎晩夜泣きしたり何か面倒な事が有るとこれで眠らされた。

ので、もちろん耐性がついた。

寝たふりを決め込む。


「どういう事よ」


「そうだな子供の初めての言葉は何時も聴いている言葉だからなぁ」


違う部屋へ移動したようだ。

ザマァ。


うん?

まだ耐性が足りないかぁ。

うぅん眠い。


オレの意識が落ちていく。















夢だ。

ありえない夢。

母さんがいる。

父さんもいる。

まだ小さい弟もいる。

仕事を手伝おうとしてくれている。


夢だ。

夢って解っている。

それなのに…

涙が出る。


場面が変わる。

教会の神父が計算を教えてくれている。

2つ下の弟がオレがまだ解けない様な問題をスラスラ解いてみせる。


また場面が変わる。

弟が連れて行かれる。

貴族の養子になる為だ。

オレと違って顔も悪くなかった弟。


もう忘れているんだろうなぁ。

兄貴がいた事何て。


場面が切り替わる。

オレが家事をしているところだ。

母さんにマズイとスープを投げつけられる。

父さんの足が壊れて母さんも荒れていた。

今思うと身体を売っていたのかもしれない。


迷惑ばかり掛けてきた。

今も元気だろうか。


無理して神父に魔法を教わった。

回復や身体向上系魔法しか覚えなかった。

支援系魔法は自分に掛けられない。

意味がなかった。


場面が飛ぶ。

スラム街だ。

自分の身体が限界だと気づいてたオレは最期に人助けがしたくて、1日に治せる限度まで何人も無償で治した。

王宮の兵士達がオレを捜しているという情報があったので木の箱の中で暮らしてた。

偉い奴は治したくなかった。


今思うと死期を早めたのかもしれない。





あぁ夢が終わる。

オレを起こそうとする声がする。





起きたくねぇな。

もうしばらく良いじゃねぇか。





夢が終わる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ