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始まり2

自分の物語の中にいるなんてことに気づいてしまった私は高校に着いた瞬間保健室に駆け込んだ。真っ白くかたいベッドに転がりながら、頭の中を整理してみる。


「この世界」の「私」の名前は、早見秋穂。高校2年生で勉強はそこそこできる、幼なじみでイケメンの鈴原洸とは家が隣で、生まれた時から一緒。そして、最大の設定としては、

「私、早見秋穂は鈴原洸のことがずっと好き…か…」

それだけだったらまだよかったのだが、可哀想なことに「私」と洸がくっつくことは無い。つまり、早見秋穂の片想いは実ることは無いのだ。ヒロインは、「私」の親友の佐野凛香なのだから。

「……どうせこの世界に来るなら凜香になりたかったな……残念」

小さく溜息をつく。自分が書いたヒーローの洸はもろ私のタイプであった。

普通なら「ココどこ!?どうやったら元の世界に戻れるの!?」と慌てないといけないはずだが、どこまでも能天気である。

何よりもここが自分が書いた小説の世界ということはわかるのだが、「元の世界の私」については何も思い出せない。

んーーーーーーー!とうなってからムクっと起き上がる。どうせ考えても仕方ない。考えても元の世界に戻れるわけでも、元の世界を思い出せるわけでもない。ならばやることは1つ……

原作通りの行動をする。

私の頭の中に物語は全て入っている。その通り行動すればいいのだ。

物語の終わり=元の世界の帰る

かもしれない。

パンッと頬を叩いて気合いを入れる。

「よっし、頑張るぞー」

物語の結末に、早見秋穂が幸せになることはない。それで構わない。どうせいつか元の世界に戻れるのだから。もしかしたら、すぐ覚める夢かもしれない。だったら、当て馬上等。物語は楽しむべきだ。

ベッドから降りて保健の先生にお礼を言う。次の授業は確か、国語の現代文。「私」が好きな教科。

少し笑ってしまう。

この世界に来たばかりなのに、学校の構造も「私」の交友関係も、自分のことのようにわかる。私は「私」なんだなと実感する。

自分で言っていて意味がわからなくなってきた。


廊下を歩き2-1、私の教室の前に着く。

ひとつ深呼吸。

大丈夫、やれる。これは私の作った物語。

私は当て馬の早見秋穂。


そして彼女は、ガラッと扉を開け、早見秋穂としてのだ1歩を踏み出した。




この時の彼女は、何もわかっていなかった。

「自分が作った世界」の本当の意味も、自分の存在も、鈴原洸のことも、佐野凛香のことも。何も覚えていなかった。

物語は動き出す。静かに、確実に。

彼女が知らない亀裂は、既に物語を、運命をじわりじわりと変えていた。

下手くそな物語を読んでくださった方本当にありがとうございます。これからも暇つぶしとしてでも読んでいただけると幸いです。どうぞよろしくお願いします。

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