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白い世  作者: 古井雅
7/80

てるてる坊主

雨、では無く外には雪が降っています。


吊るされたてるてる坊主 光さえも届かぬ土

誰も見るはずのないのに 着飾った衣類

書き残した手紙は今 胸ポケットで犇めいている

幼子の泣き声さえも 緑色の空へと消えている

するりと抜けてしまった記憶は まだ消えずに残っている


知らぬ間に通りすぎた俄雨 濡れた衣類に触れる小さな手

優しく抱いたその子には 想い出だけがそっと包まっている

まだ温い胸にそっと頬をすり寄せる 目元の小さな腫れに触れてみる

「なかないで」そんな声すらも 届かぬ空へと散っていく

歩んで消えていく道を 愉快に歩きましょう


見つけて飛び散った哀しみは 今手のひらに

見つけて抱いた温もりは 今胸の中に

見つけて温めた想い出は 今虚空の彼方に

見つけて探した後悔は 今何処かに


愛しい物でさえ いずれは別れと消えていく

座標さえも分からない別れは いつか涙として頬を伝うでしょう

悲しさでさえ手繰って 必死に消そうとした涙の跡は

いつか強く寂しい 想い出として留めていく


今度はどんな物語を綴ろうか 今度はどんな歩みを見ようか

次に会うときは お互いどんな子になっているのでしょう

雨音と共に 僕らは進みましょう


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