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白い世  作者: 古井雅
6/80

トランクケース

チョコレートケーキって、やたら薄いものと濃いものがありますよね。

何も置かれていない部屋の片隅 真ん中にあるのはトランクケース

水浸しの室内には時間を刻む音が鳴り響いている

遠く聞こえる慟哭さえ 進み続ける秒針が掻き消す

苛立つように進んでいる 悲しい時間の座標

進むときさえも 惑わせる


忘れて亡くした時間の束 不意に流れた水の滴には

戻らない時間の針を 必死に巻き戻そうとしている自分が映る

無意味な事こそ ヒトはやろうとする

理解こそできるものの 流れだした醜穢は止めどなく流れる

巻き戻しても 巻き戻しても それは悪夢のように蘇る

見つけてきたトランクケースも 棄てた


気がつけば持っていたものを 手放していた

後悔という感情すら分からない 幼い時間の中

溢れたグラスの水と同じような 小さな自分の心境

確かにそこにはあった感情は 優しさ?


銃声のような雨音と 手繰り寄せるような怒号

蠢く人の群れさえも掻き分けて 赤黒く染まる蜃気楼

断末魔のようなけたたましい声 泣く夜空

挿話的な夜空を飛び交ったのは 人の泣き声でした


さて そろそろ僕もいきましょう

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