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水底より
永遠の0を見てたら書きたくなっちゃった。ちなみにその時、私の住んでいる地域は酷い雨でした。
ある日ベチャベチャの手紙が届く
その手紙は水に濡れている
文字は何も書いていない
でもひと目見るだけで読み取れる
積年の歴史を水と共に積み上げて
堆積する悲しみの水
最初は誰も望まなかった
優しい雨に打たれることしか望まない
いつしかそれは涙の海に変わっていた
涙の海より涙の雨へ
水底に沈む善意が虚しく木霊する
悲しみに満たされた淡いネイビーブルー
黙しながらすべてを語る水底の手紙
いつも誰かの慟哭が聞こえる地上と対比するように
悲劇的な雨音をたぐり寄せる
手紙はまた紡がれる
手紙は誰に触れられても黙するだけ
黙っていても伝わるから
悲劇の水で満たされた封筒が
新たに生まれる事のないように
手紙は切に願いながら
水底より




