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靄の庭
少し遠くを見つめようとしても 異常に燦然としている靄が視界を揺らす
蜃気楼にも似た不気味な感覚 貴方にも覚えのあるものであるはず
常識の雨音と現実の靄の間に立つ木立に躰を隠して 想い出に指をなぞらせては潜む
まるでぷかぷかと浮かぶ瓶のような そんな迷子みたいな気分になる庭
ここは 迷路みたいな靄の庭
入るときには見渡した世界も 過ぎ去り振り向くときにはとっても狭い箱庭のよう
既に枯れ切った木立が 靄の葉で着飾ったように見えるのも同じ理由
何時迄も迷子みたいに 金色の靄の中を駆けながら今までの気持ちを確かめる
躊躇いに似た何かに引き止められる者たちも いつの日か間に合わない感情に目を背けるでしょう
凸レンズからの光景のように揺れる視界 気味の悪さが常に惑わせる靄
誰にも望まれないような靄でさえ この世に意味がある存在
幻のような庭の中に埋め尽くされる自分を映す鏡
きっと庭以外でも瀰漫しているのでしょう
この世はそうやって 廻っていくのです




