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殉者
冷たい燈火 そっと鏡へと落ちてゆく
自らの小さな存在を 理解するように嘆く燈火たち
歴史に埋もれた散りゆく者は 永遠に地で暮らしゆく
見上げた空には 果てしない数の死骸
何も見えない様に 何も持たずして沈めておくれ
愛した者たちが待つ 懐かしく苦しい水底
存在しない視界に佇むのは あの日の残響
微睡むことさえも許さぬ慟哭たち 日暮れに手を取る蟻共
あそこの自分は 平気でそれを踏みつけ死骸を蹴り飛ばした
見下ろす気分はどう? それは何時の時代も楽しいモノ
自らを殺す準備をした気分はどう? それは何時迄も気づかないモノ
もう戻れない水底へ 深くて苦しい水底
退廃した町並み 落ちていく日差し
ひらひらと舞い降りていく 星々の嘆きに耳を傾けて
「どうか彼をお救いください」そんな声がどこかで聞こえてくる
既に彼は落ち葉となり そこに佇んでいるにも関わらず
今度は深く 自分を殺めて 恐れて欲しいという願いを込めて
後悔の満ちた 水底




