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序章

――――♪


「……あ?」


 寒さ厳しい冬の日。暖房の類を一切付けていないため、室温と外気温がほぼ変わらず、室内であり、昼間であるというのに吐く息が白い、およそありえない寒さの中で眠っていた部屋の主は携帯電話の通知音で目を覚ました。


 もぞもぞと布団にくるまりながら、携帯を確認してみるとメールの着信が1件。


「んーー?」


 寝ぼけ眼で携帯を操作し、メール内容を確認する。けれど、おぼろげながらも彼女には分かっていた。この携帯に入ってくる連絡は内容こそ違うが、本質的な意味は同じもの、ひとつだけなのだから。



件名:無題

差出人:ボケやろう

アストビル



 単語しかない簡素なメール。

けど、意味は分かる。


――――ここに向かえ。始末しろ。


「アストビル……ってどこ?……あー、あのビルか。……中途半端な距離」


 スマートフォンを取り、検索。道案内で出した経路は徒歩30分。素直にこれに従うと、時間がかかりすぎる。それは後が面倒だ。

 それに、従ったせいで間に合わなかったなんてのは愚の骨頂だ。


「……仕方がない。本気をだすか」


 そう言うと、くるまっていた布団をがばっと脱ぎ捨て、ついでにパジャマも脱ぎ捨て、手早く仕事着へと着替えていく。

 そして、仕事道具が入ったバッグをひっつかみ、部屋を、そして家を後にする。


(はぁぁ……)


 一旦、立ち止まり息を整える。要は力を出すための脱力。先程言った本気の一端。


「……っし!」


 次の瞬間、彼女は足を上げ、下ろした。次に別の足を。そのまま彼女は目的地へと向かっていった。






 端的に言ってしまえば、彼女は走った。




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