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封ノ器  作者: 雲狐
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【第1話】 水の音

氷川凛(ひかわ りん)は、水の音で目を覚ました。


それは、どこか懐かしくもあり、けれど胸の奥をひりつかせる冷たい感覚だった。

夢の中で見たのは、あの夜の光景――。


炎に包まれた家。倒れた父。震える母。

そして、叫んだ声とともに、吹き上がる“水柱(みずばしら)”。


それが、彼の覚醒(かくせい)だった。



現在、凛は東京都下、山間にある“守護者連盟(しゅごしゃれんめい)日本支部・訓練拠点”に所属している。

ここは、異能者(いのうしゃ)――特異能力を持った者たちが、安全に成長するための拠点であり、同時に、災厄(さいやく)との最前線でもある。


氷川(ひかわ)、起きたか?」


部屋の扉が開き、銀髪の少女が立っていた。

白鷺真白(しらさぎ ましろ)。凛と同じく訓練生で、刀を操る風の能力者。感情をあまり表に出さないが、凛にとっては頼れる相棒のような存在だ。


「今日も模擬戦か?」


「違う。外部任務。呪地(じゅち)、らしい」


言葉を聞いた瞬間、凛の胸に、あの夢の光景がよぎった。


あれから、力を恐れ、誰とも深く関わらず、ただ与えられた訓練を黙々とこなしてきた。

だが、それでは何も変わらない。


「力を持つということは、選ばれるということ」


それは、守護者連盟(しゅごしゃれんめい)の教官――氷の王・セレストの言葉だった。


「行こう」


凛は小さく呟き、真白とともに施設を出る。

目的地は東京郊外にある地下都市跡。

呪地(じゅち)と化したその場所で、彼は初めて、“怪物”と対峙することになる。


その出会いが、すべての始まりだった。


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