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【プロローグ】 封印の気配
空が、裂けた。
それは“夜”とは違う黒。視界に染みついた深い暗黒だった。
富士山の裾野、森に埋もれた古い村落。その中心にある祠の封が、深く、静かに、ひび割れていた。
誰かが触れたわけではない。
誰かが叫んだわけでもない。
だが、何かが、目覚めようとしていた。
異能者の中でも一部しか知らない“呪地”。
それは怪物が現れる土地ではなく、“怪物しか存在できない土地”。
その封印が、いま、揺らぎ始めている。
そして、この国に再び、“王”たちが集う。
あれから、二度目の災厄が訪れようとしていた。