真実の愛って言いますが、それはただの不貞です
本作品は、しいな ここみ様ご主催の「500文字小説企画」の参加作品です。
「フレデリカ公爵令嬢!お前との婚約破棄をここに宣言する」
貴族学院の卒業パーティーの最中、第2王子であるザランが声高らかに宣言した。
「理由を聞かせて頂けますか?」
「フン」と鼻息を荒くしたザランが嘲笑うように言った。
「お前は嫉妬によってエミリア男爵令嬢を虐めた。そのような者は俺様の妃に相応しくないからだ」
「そのような事はしておりません」
フレデリカは毅然とした態度で答えた。
「嘘をつくな!愚か者」
激昂しているザランに対し、フレデリカは落ち着いている。
「嘘ではありませんが」
「往生際の悪い奴だな」
「あ、これは何を言ってもダメだ」と思ったフレデリカは虐めの否定を辞めて根本的な事に話題を変えることにした。
「仮に私が虐めをした、と言うならそもそもの原因はザラン殿下にあると思いますが」
「なぜ俺様に原因があるのだ?」
「それはザラン殿下とエミリア男爵令嬢との不貞によるものです」
「不貞ではない。真実の愛だ!」
「それなら今ここに居る皆様に聞いてみましょう」
「何をだ?」
「私という婚約者が居ながら他の女性といちゃいちゃする事が不貞であるかどうか、です」
「は?」
「さあ、皆様どう思いますか?」
結果は言うまでもない。
おわり
お読み頂き、ありがとうございました。