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少年と少女

作者: G.Heron

仕事終わり、夜10時過ぎにバイクで迎えにきてくれる妻の弟を待っていた。ジャカルタも最近少し雨が降ってツバメが多くなってきた。後2ヶ月で雨季が来るなと思いつつ、伸びゆく椰子の新芽を見て思った。


強くてまっすぐな椰子の新芽。もうすぐ2才になる息子も椰子の新芽のように毎日成長している。


ふとこのように考えながら待っていると、ティッシュを持った4歳くらいの少年が近づいてきて、ティッシュをrp 50000で買ってくれと言ってきた。市場で買えばrp 5000で買えるのでさすがにぼったくりが過ぎると伝えてわたしは断った。かわりに何も買わずにrp4000をあげた。これで飲み物でも買いなさいと告げると少年はお礼を言った。高い値段についてはごめんなさいと言った。


生きていくために少年は外国人相手にボッタくりすることを覚えていた。でも、少年はわたしにきちんとありがとうが言えた。まだその芯までは腐っていない。感謝を伝えることができる子だ。きちんと謝ることことだってできる。


少年が立ち去っても妻の弟はまだ来ない。どうやら繁華街の近くで渋滞にはまっているらしかった。こういう時は一瞬だけかつてジャカルタを治めたパジャジャラン王国の王様にでもなった優雅な気持で月見でもしながら待つしかない。イライラは禁物。喉も乾いていたのでコンビニでアイスティーを買った。


アイスティーを飲もうとした時、今度は10歳くらいの女の子が話しかけてきた。親はいなさそう。女の子はお腹が空いたからお金をくれと言ってきた。わたしはお金は渡さなかったが代わりにアイスティーをあげた。この子もちゃんとお礼を言ってから立ち去っていった。


ジャカルタはジニ係数が大きい。これは貧富の差が大きいことを意味する。経済発展の裏で取り残されたように、街にしがみついて生きるストリートチルドレン。


ストリートチルドレンもわたしの息子にもお願いがある。きちんとありがとうと言えること、間違えたらきちんと謝ること、これは忘れないでね。


子供たち。ヤシの新芽のように強く、どうか腐らないでほしい。素敵な心まで街に飲まれないように。



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