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春の唄

作者: 水元あくあ
掲載日:2010/01/23

雪がシンシン降る土の中で小さな小さな花が咲く


冬の凍てつく大地にも、春の兆しは見え始め、命が一斉に芽吹く。


しかし冬は言う


「冬の寒さの中にも命の神秘は産まれる」のだと。


語り部が、人々に語り継いでほしいと残していった話。


ある寒い冬のこと。

一人の無精髭を生やした男が、サクサクと雪の上を踏んでいた。

粉雪がちらつく、とても寒い夜だった。

「母ちゃん待ってろよ」

と男が踏みしめた後ろには小さく、しかし確かに足跡が残っていた。


呼ばれた医者は年老いていた、しかし事情を知った医者は急いで村へと向かった。


母親は紐をつかみ、必死に医者を待っていた。

新しい命が今、産まれようとしているのだ。


産婆がかけつけ、やっとの産んだわが子を胸の上に乗せた母親は


冬の間に咲いた一輪の花をその娘に授けた。


山茶花。


やっと会えたね と母親はつぶやいた。


そして冬はやがて暖かい春へと変わる


そしていつか・・・


君の笑顔にみんなの心にも花が咲く


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