放課後のパズル
※あらすじ書くのに慣れていないので、あらすじと本編が噛み合っていない可能性があります。さらに、これを恋愛小説というのかは、わかりません、違ってたらすみません。
キーンコーンカーンコーン
15時の放課後のチャイムが鳴った。窓の外を見ると、部活に所属している生徒達は部室へ、部活に所属していない生徒達は下校するため正門へ向かっている。高1の俺は別に特技や趣味がないため、部活に所属していない。だが、教室に留まっていた。ある人を待っているからだ。
チャイムが鳴った10分後、俺のいる教室のドアがガラガラと音を立てた。そこに入ってきたのは、黒の長い髪で、おしとやかな女性、鈴鳴 京子先輩だ。
「お待たせ~。ごめん遅くなっちゃって」
「いえ、別に時間は気にしてないので・・・」
「橘くんが気にしてなくても、私が気にするの!」
先輩は頬をぷくーっと膨らませた。頬を膨らませた先輩はすごくかわいい。
「まあいいや。さ、続きをやろっか。昨日の『パズル』の」
先輩はトートバッグに入っている四角いケースと箱を取り出し、ケースのふたを開ける。そこには、半分完成している猫の絵のパズルがある。先輩は箱から残りのピースを取り出し、パズルの準備をした。
「よし!じゃあやろうか。今日中に終わるといいね~」
「はい・・・」
まず、どうして俺達が学校でパズルをやっているかと言うと、一昨日の話になる。俺が帰ろうと下駄箱に靴を入れようとした時、一通の手紙が入っていた。なんだろうと俺は手紙を開いてみた。
大切な話があるので、3-2の教室に来てください
鈴鳴 京子
手紙にはそう書いてあった。俺はもうすぐ5月になるというのに友達が一人もできていない陰キャだ。人生でモテたことは一度もない。そんな俺がラブレターをもらうなんて、どんな天変地異が起きてもありえないことなのだ。しかし、相手は先輩だ。行かないと失礼だろうし、俺なんかにラブレターなんて渡すわけがない。そう思った俺は3-2へ向かった。
3-2の教室についた俺は、ドアを開けた。そこに一人の女性がいる、たぶん鈴鳴先輩だろう。先輩は俺に気づくと、俺の方に向かってきた。
「えっと、橘 透くんだよね?」
「え、あ、・・・はい」
「やっぱり!よかった!あの、大事な話があるの!」
俺は告白じゃないとわかってはいた。わかってはいたが、鼓動がものすごく早くなった。
「え、えと・・・どんな話・・・です、か?」
「あのねあのね!一緒にパズルをしてくれない!?」
「・・・え?」告白されると思ったいた俺の思考が止まった。
「あのね、この前、3000ピースの猫ちゃんのパズルを買ったんだけど、全然できなくて・・・。友達は受験勉強に集中したいから無理だって言ってて、そこで、唯一知ってる一年生でおとなしいことで有名な橘くんにお願いしてみたの!」
なるほど。だから僕に・・・。ん?でもちょっと待ってくれ。
「鈴鳴先輩は受験勉強しなくていいんですか?」
「え、うん。私高卒で働くつもりだし」
「・・・」
「いいじゃん高校でも!とにかくお願い!このパズルを完成させたいの!」
「わ、わかりました」
まあ、こんなことがあって一緒にパズルすることになったわけだ。こんな一昨日ことを思い出しながら、俺は黙々とピースを繋げていく。
そして4時間ほどやって、今日、やっとパズルが完成した。時計を見るともう19時近くで、外はそこそこ暗い。
「橘くんって・・・なんかすごいね。もしかしてパズル得意?」突然先輩から訪ねられた。
「えっと、昔からよくやってたので慣れてはいますが、得意では・・・」
「いやでもヤバいよ!?だって3000ピースって一人でやったときでも平均40時間だよ!?私達二人とはいえ3日合わせて約12時間だよ!?本当に橘くん人間!?」
「勝手に人を人外扱いしないでくださいよ・・・」
「あぁ、ごめんごめん。スゴすぎてびっくりしちゃってね。でも、パズル手伝ってくれてありがとう!また今度遊べる時に遊ぼうね!」
「は、はい。でも、最後に一つ聞いていいですか?」
「ん?いいよ?何?」先輩は首をかしげている。
「なんで、一年生の俺だけを誘ったんですか?他にもスポーツ万能で有名な人とかいますよね?てか俺がいるとしても他にも多い人数でやればすぐ終わったから俺以外も誘った方がよかったのでは・・・」
昨日からうすうす思っていた。なぜ、俺だけなんだろうと。
先輩は少し驚いた顔をした。
「嫌だった?」と、先輩は訪ねてきた。
「え、いや、嫌ではありませんでしたけど」
「ふーん・・・」
先輩はパズルのケースを閉じて、大切そうに持ちながら下を向いた。
「あの、結局俺だけだった理由は」
「あー!お母さんとの約束忘れてた!もう帰らないと!付き合ってくれてありがと!じゃ、またね~」
「あ、ちょっと!」
俺は先輩を呼び止めたが、先輩は小走りでどっかへ行ってしまった。
「もう、なんだったんだよ・・・」
俺は帰る準備をして、モヤモヤした状態で、学校を出た。
俺が、鈴鳴先輩は入学式の登校中に俺を見つけ、一目惚れしたということを知ったのは、まだまだ後のことである。