次の目的地
「魔導石を譲るのは良いのですけれど、その後あなた達はどうしますの?」
俺達はローズブラッドに戻ってきたのだが、今日は疲れもあって、明日、改めてスイを取りに行くことにした。そして、今は就寝前である。俺とマリアはキリエの部屋にいた。最初の夜から、寝る前はちょくちょく来るようになり、今では日課になりつつある。
「そうだな……スイで魔剣は何本になるっけ?」
「7本ですね。ホープさん、ミコトさん、ヒメさん、ホワイト、エアロさん、エクスさん、ブラックさん、スイさんですね。」
『え、なんで私だけ呼び捨てなの?』
「イメージ的にです」
『なにそれー。ちょっとショックなんですけどー』
ホワイトはいつものキイキイ声で講義するが、俺もしっくりくる気がする。
「これまで通ってきた所は目ぼしい場所は行き尽くして来たから、西に行くかな」
「魔族の村もあることですしね」
「言っとくけど、俺は勇者なんかにはならないからな」
俺は一応釘を差しておく。
「わかっていますよ。魔族の村なら、私達人間には伝わっていない情報なども手に入るかもしれませんから、魔族に聞いてみるのもいいと思うのです」
「なるほど」
『聖女よ。一つ良いか?』
珍しく、エクスが口を挟んできた。
「はい。なんでしょうか」
『魔族も人間だ。魔族を人間ではないように言うのはどうかと思うぞ』
「魔族が人間……?」
マリアは信じられないという顔をする。
『そうだ。魔族と呼ばれる者たちは、昔、悪魔と交配した人間の子孫たちだ。その人間は子を産んだとたんに死んでしまったが、子孫たちは元気に生きているようだな』
『おいおい、爺さん。そんなこと言っちゃって良いのかよ。精霊は極力、人の行動に影響を与えないように接するべきなんじゃなかったのか?』
『そうだったか? 我も生まれ落ちてから日が長いのでな。忘れていたようだな』
エクスは失敬失敬と軽い笑いを飛ばした。エクスにしては珍しい行動だったようにも思う。
「魔族も人間……なら、我々のことは人族と呼ぶことにしましょうか。魔族の呼び方をそのまま当てはめるのは少し癪ですが」
マリアも、エクスでなければこの話を信じなかっただろう。
マリアもだが、教会関係者は悪魔と魔族を敵対視している。それをすんなりと受け入れたのだから、マリアの度量の広さが窺える。
「それじゃ、次の目的地は魔族の村だな」
「それなら、私も付いていってもよろしいかしら?」
「別にいいけど」
「理由はなにかあるのですか?」
「魔族の村がこんな近くにあったとあれば、この村の脅威となるかもしれませんわ。友好的かどうか確かめに行きたいのですわ」
「そういうことなら」
俺は快諾、マリアも承諾した。俺は特に気にしてなかったけど、そういう側面もあるのか。
「今日はここらへんで眠るとしましょう。明日は霧の森へ行くのでしょう?」
「そうですね。今日はこのあたりにしておきましょうか」
「じゃあ、おやすみ」
俺とマリアはキリエの部屋を出て、自室に戻り睡眠を取った。




