業炎烈波
これは俺の意地だ。蛮勇だ。けど、俺は一人でこいつに勝たなくちゃいけない。そんな気がしていた。それに、ホープの火を消されたのも癪にさわった。
『水を吐いてくるなら、ボクを使う? 水に雷を流せば水を伝って本体にダメージを与えることができると思うけど』
ミコトが提案してくる。確かに、それが最善策だろう。だけど、俺はその提案を断った。
「いや、ホープでいく。ブラック、力を貸してくれるか?」
『いいぜ。やってやろうじゃねえか』
『まるでお前は、俺達を使うために生まれてきたみたいな言動をするな』
「やってやる!」
俺はホープとブラックを手にした。
俺は湖の淵を走りながら、ホープを振るった。
「【風炎舞・飛炎】!」
ホープを振った軌道に沿って、炎の刃がまっすぐ飛んでいく。【風炎舞・飛炎】は、風にのせて炎の刃を飛ばす技だ。風の力が加わらないとできなかった技だ。
「リヴァイアサン」
竜の口から水球が発射され、炎の刃を相殺する。
「まだまだあるぜ!」
俺は連続で【飛炎】を飛ばす。それを竜が水球で相殺する。そんなことを数回繰り返した。できるだけ竜の水の威力を下げるためである。
「そんなことをしたところで、意味はありませんよ。諦めて死になさい」
「そうはいかないな」
俺は足を止め、女性と向かい合った。ホープの先で、正面に円を描く。すると、剣の軌跡に沿って炎が走り、炎の輪ができた。
「【炎舞・業炎烈波】!」
炎の輪の中心を突くようにホープを突き出すと、剣を突き出した方へ、炎の輪から炎が放出さた。炎は渦巻きながら、女性へと一直線に向かっていった。
「リヴァイアサン!」
竜の口から、すごい勢いで水が噴出される。それは炎とぶつかり、水蒸気を伴いながらせめぎ合った。
「なかなかやるじゃないですか。でも、残念でしたね」
女性が竜の頭に手を当てると、水の勢いが増し、炎が圧されはじめた。
「残念だったのはお前の方だよ」
「なに?」
俺はブラックをホープに打ち当てる。カツーンという金属がぶつかる音が鳴り響いた瞬間、炎の勢いが2倍ほどに増し、水を一気に蒸発させ、炎があっというまに進んでいく。
「まずい!」
炎が竜の口に当たると、竜の腹の中にあったのだろうか、大量の水が一気に蒸発し、大爆発が起きた。その勢いで俺は後方に吹き飛ばされ、木に思い切りぶつかった。
「あがっ!」
『馬鹿じゃないのか!?』
『水の急激な蒸発によって膨らんだ体積を利用した爆発か。やるじゃねえかケント!』
ホープは叫び、ブラックは賞賛した。
「ケントさんがそんなこと考えてやったとは思いませんけどね」
爆発の衝撃が収まり、マリアとキリエが俺の元まで歩いてきた。声の魔力の影響も無くなったようで、キリエも普通に歩いていた。
「いや、びっくりした」
「なんでびっくりしたで済んでるのか甚だ疑問ですわ……」
「やっぱり考えてなかったのですね……」
2人が呆れてため息をつく。
え? ちょっと考えたらわかることなの?
でも、ため息をつきながらも回復はしてくれるマリアには感謝しないといけないのかな。




