VS魔族
グレールの声を合図に、魔族たちが襲い掛かってくる……と思っていた。
だが、先頭の魔族たちはばたばたと倒れだした。
「てめえら! なにやってる!」
「なにって、死んでいるのですわ」
キリエが、2丁拳銃になったレーヴァテインを持って言った。
「霧が晴れればこちらのものですわ。やってやりますわよ! 2人共!」
「あ、ああ」
俺は、剣を構えながらも少し躊躇していた。同じ言葉を話す生き物を殺したことはないからだ。
「私達の使っている武器は結局は殺しの道具なのですわよ。本来の使い方をするんですの。覚悟を決めないと、死にますわよ!」
キリエは剣や銃について、深く理解していた。俺は、その本質を感じながらも、無意識に考えないようにしていたんだ。それに、今直面している。
「俺は―――」
「ケントさん」
マリアが俺の背に触れる。その手は小さかったが、しっかりとした意志のこもった手に感じられた。
「俺も負けてられないよな」
俺はホープを握り直し、しっかりと地面を踏みしめた。
『大丈夫か?』
「やってやるさ!」
俺はにっと笑った。自然にではなく、意識的に笑った。
「【雷鎖】を解くぞ」
「援護は任せてくださいまし」
「キリエさんには何人たりとも触れさせません。安心して行ってきてください」
【雷鎖】を解くと同時に、俺はグレールに突っ込んでいった。
「グレール!」
グレールの仲間と思われる魔族が、割って入ろうとする。
「させませんわよ!」
だが、銃声と共に、割って入ろうとした魔族に弾丸が放たれ、魔族は足を取られてすっ転んだ。
俺はそのままの勢いでグレールを斬りつける。だが、グレールも馬鹿ではない。硬い爪でがっちりガードしていた。
「お前、骨はあるが、軽いな」
「なに?」
グレールの爪を見てみると、傷一つ入っていなかった。
『硬え!』
「軽すぎる!」
グレールは爪を振るい、俺を弾き飛ばす。
「そんなもんか? お前の実力はよ」
「こんなもんじゃないさ」
俺はホープを鞘にしまう。あいつの爪は分厚く、生き物の一部位と思えないほどに硬かった。故に斬れない。だが、斬れないなら斬らずに折ればいいんじゃないか?
「集中」
俺はヒメを使うことにした。ヒメを十字鞘から抜くと、肩に置くようにして持った。こうやって持たないと重くて無駄に疲れるんだ。
『今回はひと振りで終わりじゃなくていいよね?』
「もちろんだ」
「剣をでかくしただけで、俺の爪をどうにかできると思ってるのか?」
「それは、自分で確かめな!」
俺はグレールに向かって真っ直ぐ走っていき、ヒメを大上段から振り下ろした。




