遭遇
俺達は南西に広がる森に来ていた。件の霧の森だ。森は、外から見ても霧が立ち込めていて、異様な雰囲気だった。
一緒に来ているメンバーは俺とマリア、それにキリエだ。キリエはお目付け役として、村長に着いていくように言われたらしい。やはり、余所者に禁足地で悪さをされるとかなわないということだろう。キリエはその事についてはもう怒っていないと口では言っていたが、表情は不機嫌そうだった。
「本当に霧がかかっていますね」
「ほんとにこんな場所が村の近くにあったなんて……」
『迷うといけないからみんなで手を繋いだほうがいいんじゃない?』
ホワイトが提案する。
「そうだな」
俺が2人に手を差し出す。
「何があるかわかりませんから、ケントさんは片手に剣を持てるようにしておいたほうが良いですよ」
そう言って、マリアが俺の片手を握り、もう片方の手をキリエに差し出す。
「ま、マリアも剣を持っているのだから、片手は空けておいたほうが良いと思いますわよ?」
キリエは俺の片手を握り、もう片方の手で、マリアの手を握った。つまり、3人が輪になって仲良く手を繋いだ状態になったってことだ。
『何やってんだおまえら……』
「なにやってんのおれら……」
ホープとほぼ同時に言葉が出た。
結局、ミコトの技の【雷鎖】で、精霊力で作った鎖を繋いで、3人がバラバラにならないようにした。霧の森の内部は、森と言うには開けた場所が多く、林と言ってもいいくらいだった。しかし、開けた場所でも霧で視界は悪く、3m先には何があるかわからないくらいだった。
「これって精霊力でできてる?」
『そうだな。お前を呼んでるんじゃないか?』
ホープが戯ける。これまで、剣の方から俺のことを呼んだやつなんて、エクスくらいだ。
『別に冗談言ってるわけじゃないぜ? 剣は使い手あってのものだからな。みんなお前のことを待ってるんだよ』
「そういうもんか」
「しかし、この霧が精霊力で構成されているということは、当たりだということですね」
マリアの言う通りで、精霊力を操れる者は限られている。魔剣がこの森にあるということは確実だろう。
「しっかしどこを歩いているのかわかりませんわね」
「そうだな……。でも、剣が俺を呼んでるなら、きっと歩いていれば剣に出くわすよ」
そんなことを言って歩いていると、目の前に人影が見えてきた。剣じゃなく、人と出会うとは思わなかった。
近づくにつれ、相手の姿がはっきり見えてくる。体中体毛に覆われ、頭から三角形の耳が生えていて、口が大きく、大きな爪を蓄えた人(?)がそこにはいた。2本足で歩く狼といったところか。
「おやおやおやおや。こんなところで出くわせるなんて、なんてついてるんだろうな」
「魔族!!」




