骨の龍 その2
しかし、戦うと言っても、相手は遥か高い天井だ。エアロの力を使えば戦えなくもないが、地面に降りてきて貰ったほうが戦いやすいだろう。
「あいつを地面に落とす! 【エアリアル】!」
「待ちな―――」
俺は、キリエの声を振り切り、風魔法【エアリアル】で宙に浮かび、ドラゴンゾンビに向かっていった。
ドラゴンゾンビの肋骨が伸びて俺に襲いかかる。それを間一髪のところで躱す。だが、骨は中身もしっかり詰まっているようで、すごい風圧で俺の体制が崩れる。それを狙ったように次の肋骨が襲い掛かってくる。【エアリアル】は周りの空気を操り、自分を浮遊させる魔法だ。周りの空気が一定でないと、操作が難しい。そのため、俺はドラゴンゾンビに近づけず、立ち往生となっていた。
『このままじゃ近づけないよ。まずは肋骨をなんとかしなきゃ』
「そうだ―――」
エアロに返事をしようと思った瞬間、俺の頬を銃弾が掠めた。
「待ちなさいって言ってるんですの!」
下方を見ると、キリエがライフルに変形させたレーヴァテインを持って叫んでいた。
「ケントさん、一度降りてきてください!」
キリエとマリアの表情には、なにか策があると書いているようだった。
俺は彼女たちに従い、一度地面まで降りた。
「我らが神よ、聖なる盾で我らを護り給え……【聖十字】!」
マリアの手にしたロザリオを中心に、前方に向かって光の十字架の盾が展開する。ドラゴンゾンビは盾に肋骨を突き刺そうとするが、十字架の盾はびくともせず、俺達を守っていた。
「今のうちに話し合いましょう」
「私があいつを落としてさしあげますわ」
「でも、あいつ硬そうだぞ?」
「大丈夫ですわ。モード:レーヴァテイン」
キリエの声に反応して、グリップに部品が集まっていき、それは大きなライフルを形成した。銃身の下には銃を支えるための二脚がついている。側面には、5つの魔導石が装着されていた。
「これなら、硬い骨も砕けますわ。重くて腰を下ろさないと撃てないのが玉に瑕ですが」
「そんなので頭上のものを狙えるのか?」
「こうするのですわ。【クラフト】」
キリエが地面に手をかざすと、そこから縦に小さな石柱が精製された。
「これを支えにしますわ」
「なるほど。これならたしかに狙えそうだ」
「もう少しで破られます。大丈夫ですか?」
マリアが額に汗をにじませながら言う。かなり頑張ってくれているようだった。
「あとはケントが私を守ってくださればオッケーですわ」
「わかった。任せとけ」
これで作戦は決まった。後は実行するだけだ。
「破られます!」
「集中!」
俺はマリアの前に躍り出て、ヒメを伸びてきた肋骨に振るった。ヒメによって、肋骨はばきっと砕かれていた。ドラゴンゾンビは苦しそうに肋骨をくねらせ、もとの位置まで戻した。
『いいねいいね! 初めてケントに使われたけど、パワフルでいいじゃん!』
「でも、両手じゃないと振れないし、肩に乗っける感じじゃないとずっと持ってはいられないな」
『まだまだだね、ケント!』




