骨の龍
「すごいですわね。神聖魔法って攻撃魔法のイメージがなかったのですけれど、ああいうのも存在するのですね」
不死者の大群を浄化した俺達は、洞窟内を先に進んでいた。
「そうですね。あれを使うのは私以外見たことがないのですけれどね」
『それはそうよ。あれはマリアオリジナルの神聖魔法だからね』
ホワイトの声が聞こえてきた。
『そもそも、魔法というのは使用者のイメージでどんな姿をも形どれるものなのだ。それを人間という奴らは名前を付けて固定化しよってからに……』
『完全に老害になってるぞじじい……』
ホープとエクスも混じってくる。普段から、剣たちは会話しているみたいなんだけど、俺があんまり聞こうとしてないから聞こえてこないんだよな。
しばらく真っ直ぐ歩いていると、開けた場所に到着した。そこには、壁一面に魔導石の原石が敷き詰められるように群生していた。
「これが、この洞窟のアンデットを浄化してほしい理由ですか」
「そうなのですわ。魔導石は様々な所で使われている、生活必需品なのですわ」
「でも、ここまで来たのに、さっきのアンデットたちで終わりだったのは拍子抜けだね」
俺が2人の方を振り返り、笑いかけると、ホープが叫んだ。
『ばか! 上だ!』
その声と共に、上から何かが俺目掛けて降ってきた。俺はホープのおかげで間一髪躱すことができた。
「ケントさん!」
「どうやら、まだ終わりではないみたいですわね……」
俺の居た場所を見てみると、天井から、なにか白いものが伸びてきているようだった。その太さは、人1人分といったところだ。
白い何かは、体制を整えるように、ゆったりと天井へ戻っていった。
「神よ、我らの行く末を照らし給え、聖なる光りで導き給え……【聖光】!」
マリアがロザリオを掲げながら詠唱を行うと、ロザリオから眩い光が発され、天井にいた者の姿を露わにした。
「あれは……」
それは、大きな骨が骨格を形作っていた。背骨は長く、尻尾のようなものもあり、そこから肋骨や足の骨、肩や手の骨などが伸びていて、それは生前の強大な姿をありありと想像させた。顔に当たる骨は、ワニのように口が長く、大きいものだった。
「あれはドラゴンゾンビです! 2人とも、逃げてください!」
俺達が逃げようと振り返った瞬間、天井から骨が伸びてきて、入り口を隙間なく塞いでしまった。
「逃さないってことかよ」
戦うしかないと判断した俺は、ホープを構えた。




