浄化
規則正しく並んだアンデットの隊列には、スケルトンの他に、腐った肉を纏った者、体がすけている者、火の玉が浮いていたりもした。
「フルウィンド!」
俺は咄嗟に風魔法を放った。風魔法【フルウィンド】は、強烈な突風を起こす魔法である。
精霊力を伴った風によって、アンデットの隊列の前列が吹き飛ばされ、後ろのアンデットにぶつかる。その衝撃で倒れたアンデットがさらに後ろのアンデットにぶつかり、倒れる。それが続いて、ドミノ倒しのように隊列はぐちゃぐちゃになっていった。
「マリア! 神聖魔法を頼む! ここは俺とキリエで抑える!」
「モード:ショットガン」
キリエの声に反応し、キリエの銃が形を変える。両手に持ったグリップの片方は宙に浮き、部品としてもう一つのグリップの方に吸い寄せられていく。それは、みるみるうちにショットガンへと姿を変えた。
「ぶっとびなさいませ!」
キリエが引き金を引くと、けたたましい発砲音と共に、散弾がアンデットに向かって放たれる。それはアンデットを粉々にし、さらにアンデットを吹き飛ばして、更なる転倒を引き起こした。そして、キリエは銃身の下部にあるグリップをスライドさせ、薬莢を排出し、次の接敵に備えた。
「すさまじい威力だな。俺、いらないんじゃないか?」
「そんなことありませんわ。ショットガンの装填数は8発。それだけで押し切れる量ではありませんの」
「なるほど」
キリエはそれからも、ショットガンを使い、アンデットを後退させていった。発砲音とガシャコンという、グリップをスライドさせる音が洞窟内に響き渡る。その瞬間だった。グリップをスライドさせる一瞬の隙に、腐った肉を纏ったアンデットがキリエに向かって跳びかかってきた。
「くっ……!」
俺は、キリエの前に飛び出し、ホープを前に突き出した。
「炎舞・円!」
ホープの剣先から炎が吹き出し、傘のように広がっていった。その炎に触れたアンデットは燃え上がり、炎の流れに沿うように、壁に叩きつけられた。
「これは……」
「炎舞・円。炎の傘を作る、数少ない防御技だ。大丈夫か? キリエ」
俺がキリエの方を見ると、キリエがショットガンを撃ち放った。前を見てみると、アンデットが木っ端微塵になっていた。
どうやら、円が収まったタイミングで跳びかかってきたらしい。その勇猛さも、木っ端微塵になった肉片からは読み取れない。
「油断大敵ですわよ」
「2人とも、頭を下げてください」
どうやらマリアの詠唱が終わったようだ。俺達は言われるがままに頭を下げた。
「彷徨える魂に救済の十字架を。【聖十字雨】!」
俺の後方から神々しい光が差す。そこから、無数の小さな十字架が飛び出した。その十字架は次々とアンデットに突き刺さり、魂を天に導いていく。その光景は、一瞬天国かと見紛うほどに眩かった。
しばらくすると、光が収まった。そこには、マリアの光球に照らされた死体が所狭しと転がっているだけだった。




