ローズプラッドでの朝
朝目覚めると、隣にはマリアがすやすやと眠っていた。昨日の威圧感が嘘のように、安らかな寝顔をしていた。俺が先に起きるのは珍しいかもしれないな。
そんなことを考えながら、体を起こすと、部屋をノックする音が聞こえた。
「朝ご飯ができましてよ。お二人とも、お目覚めになっていますの?」
キリエの声だった。
「というか……起きなさーい!!」
俺が返事する前に、キリエはバーンと扉を勢い良く開いた。その音は朝の静けさを吹き飛ばし、ついでに俺の眠気も吹き飛ばした。
「あら、ケント。もう起きていましたのね―――」
そう言った瞬間、キリエの顔が固まった。隣を見ると、マリアが体をのっそりと起こしていた。
「おはようございます。ケントさん」
「おはよう」
俺とマリアはいつものように挨拶を交わした。そして、ベッドから降り、それぞれ支度を始める。その間も、キリエは微動だにしないでいた。
「キリエ、朝ごはんができてるんじゃないのか?」
俺がキリエに声を掛けると、我に帰ったかのようにキリエがビクッとして動き出した。
「ど、ど、どうしてあなたたちは同じ部屋で寝てるんですの!!!???」
朝から甲高い声で叫ぶキリエ。怒っているのだろうか。
「それは、いつもこうだからですよ。いつも2人で同じ場所て寝るのが常になっていたので、つい癖で一緒に寝てしまいました。せっかく部屋を与えてくださったのに、申し訳ありません」
マリアが今も状況が理解できないといった感じで慌てふためいているキリエに対してさも当然といった様子で返す。
あれ? 昨日言っていた事とだいぶ違うくないか? まあ、快く部屋を貸してくれた人に信用できないと言うのはさすがに憚られたんだろう。
「そんなことより、腹が減ったよ。ご飯出来てるなら、ちゃっちゃと食べに行こうぜ」
「そんなこと!?」
俺は叫ぶキリエをすり抜けて、食堂へと降りていった。
今日の朝食はスープとパンだった。スープの中には野菜の他に肉も入っており、栄養バランスも考えられているように見えた。しかし、材料はすべて魔物を使っていて、見た目はグロテスクであった……。味は良いんだけどね。
「今日から生活の手伝いをしてもらいますわよ」
食事が終わると、キリエが声をかけてきた。
「手伝い?」
「そうですわ。主に荒っぽいことをお願いするつもりですわ。腕っ節も確かのようですのでね」
キリエは、マリアを指差して続ける。
「あなた! マリアさんと言ったかしら? 神聖魔法が使えるのでしたわよね?」
「はい。私は神聖魔法を主軸に戦闘をこなしています」
「ならうってつけのものがありますわ! あなたには、アンデットの浄化をやっていただきますわ!」




