南西へ
マリアが悪魔を討伐してから、2週間が経過した。カエリアの工房では、様々な防具や武器が高速で作られていった。カエリアがそのうち倒れないか心配なほど、彼女は夢中で金属と向き合っているようだ。
そして、今日工房に来たのは俺とマリアの新しい装備を受取に来たのだ。
「カエリア、いるか?」
俺が店の扉を開くと、ピンクの壁紙がお出迎えしてくれた。壁紙には虹も描かれており、スミスの町よりも内装に気合が入っているのが伺える。
しかし、いつ見てもパステルな色の壁に飾ってあるのがゴツい武器や防具なのに、違和感しか覚えない。
「お、待ってたよ」
レジの奥からカエリアが顔を出す。馬車で移動していたときよりも睡眠時間は少ないはずなのに、顔は生き生きとしていた。
「これが私の自信作!」
カエリアが持ってきたのは、一見俺が今着ているシャツと同じような服と、どこにでもあるような長ズボンだった。
「わあ……これをカエリアさんが?」
「もっちろん! 私に不可能はない!」
カエリアは大きな胸をバシンと自分で叩き、胸を張る。俺には普通の服にしか見えないのだが、マリアにはこの服のすごさがわかるらしい。
「これを織るのに3日もかかっちゃったよ。それくらいには難しかったかな! まず、魔力のこもった糸を十字にして、それから―――」
しばらくカエリアのうんちくが続いた。マリアは興味津々といった様子で聞いていたが、俺はなんのことかさっぱりだった。最後に2人に簡単に説明してもらうと、「魔力のこもった丈夫な服」ということだけわかった。
マリアの装備のワンピースも、同じような感じで作られたらしいが、俺のものとは違って、神官向けに作ってあるらしい。なにがどう神官向けなのか俺には全くわからなかった。
そして、出発の時間が来た。
見送りは、王都全体で祭りのように行ってくれた。そこにはもちろんウィンチェスター王や、マーガレット王女、さらにはまだ傷が完全には癒えていないマリンも来ていた。
「ご武運を祈っている。アンのこと、頼んだぞ」
「はい。ありがとうございます」
俺と王は硬い握手を交わした。
盛大なパレードの中心人物のように、俺とマリアは、王都を後にした。




