目的地
その後、国の一大事を救ったということで、国から報酬が出ることになった。俺の懐は元から潤っていたので、カエリアの工房の改築をしてもらうことにした。改築は1週間ほどかかるらしいので、完成を見届けてから街を出ることにした。
その1週間の間に、次の目的地になり得るであろう場所の聞き込みなどもやっておこうと思う。
そんなことを考えながら冒険者ギルドまでやってくると、そこにはマリアがいた。傍らにはジンの姿がある。
「お待ちしていました。ケントさん」
「待ってた?」
「はい。ケントさんのことですから、そのうちやってくるだろうと思っていました。次の目的地を探しにね」
ジンがマリアの座っているテーブルに座るように促してくる。それに従って、俺はマリアの正面に腰掛けた。すると、ジンがテーブルにでかでかと1枚の大きな紙を広げた。それは世界地図であった。地図には、3つの大きな大陸と、左、西になるだろうか、西の方に点々と島が浮かんでいることが記されていた。
「ここが王都です」
マリアは右下の大陸の中央付近を指差しながら言った。
「王都の北西、3つの大陸が接しているところは、未だに戦争の前線となっています。私たちの国、ウィンチェスターと剣の国アルマ、そして魔法の国ファンタズムは長い戦争状態にあるのはご存知ですよね」
「いや、今初めて知ったけど」
『おいおい……』
ジンは驚いて目を丸くし、ホープまでも呆れたといった物言いだ。
「まあ、そうだろうと思ってましたけど。話を続けます。北西は前線となっているため、おそらく剣は存在しないでしょう。もしあるなら、私の耳になにかしらの情報は入っているはずですからね。
なので、目指すのは魔王の城がある南西方面です。実はここらへんは国の管轄外の区域になっていて、未知の部分が多いんです。唯一知っているのは、魔王の進行を食い止めている村があるということだけ。その村も、国の管轄を外れ、独立国のような立ち位置になっています。別に仲違いしているわけではないのですが、余計な干渉をしないように言われているので、私も存在くらいしか知りません。でも、行くならここでしょう」
「なるほど。何から何まで世話になりっぱなしだな」
「ケントさんには返しても返しきれない借りがありますから」
マリアがにこりと笑う。俺もつられて笑ってしまった。
しかし、これだけの情報を得られたのは幸運だ。これからの旅の目的地をこんなに簡単に手に入れることができたんだから。
「ところで、ケントさんってこれからなにか用事がありますか?」
「いや、別にないけど?」
「では、私に付き合っていただけませんか?」
「うん。いいよ」




