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10の魔剣と銃の国  作者: ☆ひさよ☆
王女とケント
62/111

勇者

「豪華な天井だな」

『何言ってんだ?』

目覚めると、俺は豪華な部屋で豪華なベッドに転がっていた。

ここは見覚えがある。たしか、王城に泊まったときに寝た部屋だ。


俺が体を起こすと、部屋のドアががちゃりと開いた。

「ケントさん!」

マリアが部屋に入ってきたと思ったら、次の瞬間には俺に飛びついてきた。俺は寝起きというのもあって、ベッドに倒れてしまった。

「3日も起きないから……心配しました……」

マリアは俺に強く抱きついたまま、泣いているようだった。

俺はなにもせず、しばらくそのままでいた。


しばらくすると、なんとか涙を止めたマリアが俺から離れ、目をぐしぐしとこすって涙を拭いてから、さっきとは打って変わって真剣な面持ちで言った。

「これから、王と面会していただきます」

「は?」



そして、促されるままに、俺は王座のある、謁見の間へと案内された。

謁見の間には大勢の貴族と思われる人たちが集まっていた。部屋の壁沿いと入り口付近には衛兵と思わしき者たちがずらりと立ち並んでいる。

部屋の奥の方は壇上のように高くなっており、そこには威厳に溢れた白い髭を蓄え、王冠をかぶった男がいた。両脇にはマリアと、第一王女であるマーガレットが座っていた。マリアは静かな面持ちで、マーガレットは花が咲いているかのような笑顔で腰掛けていた。

俺は部屋の中央を歩いていき、壇上の前で(ひざまず)いた。

「其方がケントか?」

白髭の男が口を開いた。

俺が口を開こうとした瞬間、マリアが厳しい視線を向けてきた。そうだった。マリアに、事前に言われていたことがあったんだった。

玉座の間では敬語、最低でも丁寧語を使えとのことだった。

俺は喉まできていた言葉を飲み込んで、敬語で話しだした。

「はい、そうです」

「この国の危機を救ったこと、感謝する」

白髭の男は、座ったまま深く頭を垂れた。

「自己紹介が遅れたな。私の名はルージ=ヨ=ウィンチェスター。このウィンチェスター王国の国王である。ケント殿、この国を救ってくれたこと、もう一度深く感謝する」

「えっと・・・どういうこと、ですか?」

俺はマリアを助けたかっただけだ。国を救おうなどと思っていなかったし、ましてやそれを成してしまったなんて想像もしていなかった。

「お父様、私に説明させていただいてもよろしいでしょうか?」

マリアが国王に言った。

「わかった。頼んだぞ、アン」

マリアはゆっくりと口を開いた。

「私はマリー=アン=ウィンチェスターと申します。どうぞ、アンとお呼びください」

マリアがそう言うと、少し周りがざわついたような気がした。

「マリー様がミドルネームを・・・?」

「この平民が一体何をしたというのだ」

しかし、そんな声もマリアの咳払い一つで静かになった。

「あなたは、悪魔に取り憑かれた我が姉、ニウ=マリン=ウィンチェスターを救い、悪魔に支配されようとしていた我が国を救ってくれました。あなたの手により、悪魔は滅されたのです」

多分、少し脚色されている。俺に悪魔を滅する力は無い。おそらく、俺が腕を斬ったマリンから悪魔を剥がし、滅したのはマリアだ。

マリアの言葉を聞いた貴族たちから、感嘆の声が上がる。そして、マリアは続ける。

「そして、今回の功績から、あなたには勲章の授与と、昨今我が国で問題視されてきていた悪魔の王、魔王の討伐を任とする、勇者に任命します」

周りの貴族から一気に歓声が上がる。勇者というのは、そこまで良いものなのだろうか?

「えっと・・・」

俺が口を開こうとすると、マリアの視線がぐさりと刺さる。俺に黙って受け入れてほしいようだ。だけど、これだけは曲げられない。俺は(つんざ)くような視線に屈さず、口を開いた。


「その任を請けることはできません」

周りの貴族たちからどよめきが起こった。

「それは・・・理由を聞いてもよろしいですか?」

「俺には目的があります」

俺は背中にある十字鞘からホープを引き抜き、言った。

「この魔剣をすべて集めることです。はじまりの剣、大地の剣、大空の剣、白の剣、黒の剣、風の剣、水の剣、龍の剣、死神の剣、魔剣はこの本に載っている9本です」

俺は魔剣物語も取り出して言った。

「なるほど・・・」

マリアが複雑な表情を浮かべる。

そんなマリアを慰めるように、国王がマリアの肩に手を置いた。

「無理強いはできんな。しかし、私は貴殿しかいないと思っておる。銃に勝るとも劣らない剣の腕、使命を果たさんとする信念。貴殿の気が変わったなら、またここを訪ねてほしい。それだけは約束してくれるか?」

俺はコクリと頷いた。


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