救援
熱風で上昇した俺の体は、風に支えられて王城までまっすぐに飛んでいっていた。城に近づくにつれ、風に乗って聞こえてくるマリアたちの声は大きくなってきていた。
「いったいなにがオコっている!?」
「アン、お前がやったのか?」
「いいえ、お父様、私ではありません」
「お前以外に誰がこんなことデキルってイうのヨ!」
『一触即発って感じだな』
「何もなくてもアイツはマリアにまた手をかける!2人とも、急いでくれ!」
『一触即発というよりは、爆発寸前って感じだね。急ごう!』
風の勢いが強くなり、俺の移動するスピードが上がった。だが、それと同時に俺の中から力が抜ける早さも上がった気がした。
持ってくれよ……!!
再びマリアの悲痛なうめき声と、マリンの恐ろしい声が聞こえてくる。
「モウナニモできないようにハヤクトドメをさしてやる!!!」
『ケント!窓から侵入するよ!』
俺は城の豪華なステンドガラスの窓を突き破り、城内に侵入した。そこには、腕が悍ましい悪魔の物になった女性がいた。その腕はマリアの首を絞めながら持ち上げていた。
「エアロ、頼む……!!」
『いいよ。力を貸してあげる』
俺がよろめきながらも力を振り絞り、腕を縦に振り下ろすと、マリンの腕目掛けて空気の刃が飛んでいき、悪魔の腕に深い傷を作る。その傷の痛みでマリアは解放された。
「きさマああああアアあああア!!」
マリンが激昂し、俺の方に突っ込んでくる。俺にはもう動く力は無かった。
しかし、俺には見えていた。マリアの頭上に輝く聖なる槍が。
『マリア!今よ!』
「聖撃!」
マリアが腕を振り下ろすと、マリンの体に聖なる槍が突き刺さる。
マリンの悲痛な叫びが響く。それは、耳を劈く甲高い咆哮であった。
「拘束!」
マリアがさらに唱えると、聖なる槍から光る鎖のようなものが地面に突き刺さり、マリンの動きを止めた。
『マリア、あなたならできるわ』
マリアはホワイトを手に取り、詠唱を始める。
「弱き心を許し給え、救い給え……今、悪の心を滅し、我が同胞を救い給え。解放の聖域!」
マリアが唱えると、マリンの足元から、円形の光が広がった。
マリンはひどく苦しんでいたが、それも次第に落ち着いていき、しばらくすると地面にどさりと倒れた。
『マリア!まだよ!』
「わかっています!」
マリアがホワイトを床に突き刺す。
「変革!」
マリアがそう唱えると、円形の光が少し変わった。具体的に言うなら、発されている精霊力の波が変化したのだ。先ほどは中心に近づくにつれて波が激しくなるような感じだったが、今は全体が激しく波打っている。そんな感じだ。
その瞬間、何かの叫び声が聞こえたような気がした。
「滅しました」
マリアがホワイトを腰に携えながら言った。
「無事でよかったよ・・・」
「ケントさん!?」
俺は力尽きてその場に倒れ込んだ。




