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10の魔剣と銃の国  作者: ☆ひさよ☆
王女とケント
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マグ=ジン

「ところで、なんで俺のこと知ってたんだ?」

俺たちは王都の西の草原に着地し、一息ついていた。もう少し西の方には森が広がっていた。その森はなぜか霧が立ち込めていた。ここから王都の方を見ると、少し寂れた地区もあることがわかる。

『僕は風だからね。風はどこにでも吹いて、いろんな話を運んできてくれるんだ』

「へえー」

これはエアロには隠し事はできなさそうだな。俺は特にする気は無いけど。

「逃げてきたのはいいけど、これからどうしようかな」

『マリアは手助けしてほしいと言っていたな』

『私もマリアのことは気に入ってるから、手助けしたいなー』

『ヒメ、あんまりそういうことを言うものじゃないよ』

ミコトがヒメを(たしな)めた。

『直接的に精霊が人の行動を決定しちゃいけない。僕たちはあくまで観測者、眺めているだけなんだから。そんなことをしたら、悪霊と何ら変わらないよ』

『ミコトは固いなー』

『これが普通なんだよ』


確かに、俺もマリアに協力すると言った手前、できれば手助けしたい。でも、そのためには連絡する手段が必要だ。それをどうにかしないと、手助けなんてできない。

そんなことを考えていると、急に声をかけられた。ひどく落ち着いた優しげな声だった。

「君がケントくんかな?」

後ろを見ると、初老の男性が立っていた。茶髪で髭も生えておらず、ぱっと見若そうに見えるが、顔のところどころには皺が目立っていた。

接近に気づけなかったのは、敵意を全く感じなかったからだろう。

「そうだけど、あんたは?」

「私の名はマグ=ジン。アン様の執事をしている者です。訳あって今は王城にはいませんが」

俺は立ち上がり、マグ=ジンを見据えた。かなり背が高く、俺の視線の位置にはお腹があるほどだった。

「執事・・・もしかして、マリアと連絡とか取ってたりする?」

「はい、もちろんでございます。アン様に、あなた様の力になるようにと申しつけられております」

「マリアと連絡を取りたいんだけど、できるかな? それとお金も稼げれば嬉しい」

マリアのこともあるけど、カエリアに依頼されたこともある。両方できれば御の字だった。

「アン様とはよく文通させていただいていますよ。あなた方の事もよく聞いておりますので、ご安心ください。まずは私の今住んでいる家へ案内いたしますので、ご同行願えますか?」

俺は「わかった」と言い、マグ=ジンについて行った。



マグ=ジンは森の中を進んでいき、一か所で足を止めた。

「ここです」

マグ=ジンが手に持ったスイッチを押すと、目の前の地面がガコンと音を鳴らし、斜めになって階段が現れた。

『『「なんだこれ!」』』

俺とヒメとエアロが同時に声を上げる。まあ俺以外の声はマグ=ジンには聞こえてないのだが。

「どうぞお上がり下さい」

『下がるけどな』

マグ=ジンはフフフと愉快そうに笑いながら先導してくれた。


中は土魔法で掘り、固められた洞窟のようになっていた。しばらく下った後、本棚やテーブル、キッチンにトイレまである部屋と呼ぶべき場所に出た。簡素な風呂まで付いていた。

「ここは・・・」

「私の暮らしている部屋です。少し簡素なものが多いですが、ご容赦ください」

「土魔法で作ったの?」

「ええ。数年前にアン様の要望で私が秘密裏に手配しました。いつか使う日が来るだろうとアン様はおっしゃっていましたが、私としてはできれば使うときは無い方が良いと思っていましたが・・・」

マグ=ジンは不安とうれしさが入り混じったような顔をした。


「それで、マグ=ジン・・・さんは―――」

「ジンとお呼びください。アン様からはお爺と呼ばれていますので、そちらでも」

俺がテーブルの周りに置かれている椅子に腰かけながら口を開くと、ジンが口をはさんできた。なにか拘りでもあるのだろうか。

「じゃあ、ジン。ジンは、どうやって外と連絡を取ってるの?」

「それはですね・・・」

ジンが口を開くと同時に、俺たちが通ってきた道から見知った顔が首をひょっこりと出し、声をかけてきた。

「ジンさん」

「おや、ダニエルくん。今日はあなたが来ましたか」

「首尾は上々の様で何よりです」

それは俺を晩餐の会場まで導いてくれたローチだった。

ローチは、手紙のようなものをジンに渡した。受け取った手紙を俺に見せながらジンが言う。

「こうやって文通しているのですよ。今回の手紙はあなた方にも見せてよい物でしょう」

そう言って、ジンが手紙をテーブルに広げた。



お爺へ


ケントさんとは合流できましたか?

できているならば、できるだけの助力をしてあげてください。彼は銃を使えませんが、我が国の精鋭をも凌ぐ戦闘力の持ち主です。期待していてください。

さて、私の方の状況ですが、あまり芳しくありません。ケントさんが悪魔を呼び寄せたという疑いを受けた結果、彼を手厚くに迎えた私にも嫌疑がかかっています。もちろん事情を知っている教会関係者は反論してくれていますが、いつまで持つかわかりません。最終判断はケントさんに一任しますが、私を助けてくれるのならば早急に王城へ戻ってきてください。



ジンが手紙を見ながら頷く。

「ケント様、どうなされますか?」

俺の気持ちは既に決まっていた。

「マリアを助けに行く」

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